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Reading Diary

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2011. 04. 03

3月に読んだ本まとめ

3月に読んだ本、まとめて感想。一部分は、ツイッターに書いたものです。


死をもちて赦されん (創元推理文庫)
Absolution by Murder (1994)
ピーター・トレメイン / 東京創元社 (2011/01)

7世紀。アイオナ派(アイルランド系)かローマ派か、ノーサンブリア王国の国教を決める重要な教会会議を前に、アイオナ派の有力な論客――フィデルマの属する修道院の院長にして友人が殺された。アイルランドの法廷弁護士の資格を持つフィデルマは、ローマ派の修道士エイダルフとともに、国王の命で事件を調査することになる。
シリーズ途中から翻訳が始まって横目で眺めていた「修道女フィデルマ・シリーズ」、やっと長編第一作が翻訳されたので読んでみた。
主人公のフィデルマは、人物像や背景の書き込みがまだあまりされていないので、今のところは単にタカビーな女性といったところ。穏和なエイダルフがいい中和剤になっている感じ。(エイダルフは、先日まで観ていた海外ドラマ「大聖堂」のフィリップ院長のイメージで読んでしまっていました・笑)
ミステリ作品としては、伏線がわかりやすいので(なのにフィデルマたちはそれらを軽視するんだもの)、あまり意外性はなかった。
法律や福祉など、様々な点でアイルランドのほうがノーサンブリア王国よりも優れているという主張が頻繁に出てくるのが少々鼻につかないでもないが、これは同著者の 『アイルランド幻想』 (素晴らしい幻想短篇集)を読めばよくわかるように、後の時代にアイルランドがイングランドにさんざん苦しめられ痛めつけられたことへの意趣返しみたいなものかしら。


お呼びだ、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション)
Ring for Jeeves (1953)
P・G・ウッドハウス / 国書刊行会 (2011/01)

バーティーの登場しない長編作品(彼が留守にしている理由がまた笑っちゃうのだが)。ジーヴスはいつも通り(ある意味ではいつも以上に)活躍しているので、おもしろいことはおもしろいんだけど、ふむ、やはりこのシリーズはバーティーの語り口が大きな魅力のひとつなのだ、という気がしますね。


ゴーストハント3 乙女ノ祈リ (幽BOOKS)
小野不由美 / メディアファクトリー (2011/03)

最近の隔月のお楽しみになっているシリーズの3作目。
今回は、怪異現象が続発する私立女子高が舞台。生徒たちを守ろうとして過剰防衛に走る教師陣と、それとは対照的なある人物の姿が印象的だった。


夜の真義を
The Meaning of Night (2006)
マイケル・コックス / 文藝春秋 (2011/03)

19世紀半ばの夜のロンドン。得体の知れぬ語り手の殺人の告白から始まるので、何か仕掛けがあるのだろうと思って読んでいたが、ストーリー的には見た目そのままな、正統派ヴィクトリア朝ゴシック小説だった。奪われた身分の回復、宿敵である青年との対決、それに絡んで起こる殺人事件の謎。
しかし、『五輪の薔薇』 などとちょっと違うのは、主人公=語り手の設定。訳者あとがきにあった「読者に共感されるアンチヒーローを創りたかった」という著者の言葉には驚いた。だって、やたら思い込みが激しくて、得体の知れない主人公は、私にとっては共感からは程遠い人物だったのだもの。(逆に、エミリーはわりと好きな登場人物だった。後半部分の彼女は、私の期待を裏切らなかった)
上下2段組で600ページという長さを苦に感じさせないおもしろさはあったけど、登場人物の行動の動機に納得できない部分もあるし、読み終えてみれば、個人的にはさほど好きな物語ではないなあ……。そういう点では、『五輪の薔薇』 と同じだな。
原書の時点で気になっていて、翻訳される予定があることを知ったときから楽しみに待ち続けていた作品だったのだけれど(「このミス」の隠し玉ページに何年も題名が出たり消えたりしていたのですよ……)、結局、以前書いた「ヴィクトリア朝を舞台にした現代作家の小説は、ごく一部の例外を除いて、好みの作品に出会えることは滅多にない」の例外になってくれることはなかったな……。(じゃあ、もう黙って、おとなしく19世紀英文学読んでろよ!って感じですね。すみません)


黄金の道 ストーリー・ガール2 (角川文庫)
The Golden Road (1913)
モンゴメリ / 角川書店 (2010/10)

海外ドラマ「アヴォンリーへの道」の元ネタである 『ストーリー・ガール』 の続編。前作に引き続き、プリンス・エドワード島の牧歌的な美しい風景のなかで繰り広げられる子供たちのドタバタが楽しくて、とてもおもしろい。読んでいるだけで、のどかで幸せな気分になれる。……が、ぶきっちょさんの恋愛話は、正直言って「キモイ」と思う……(ストーリー・ガールがその話をさんざん言い渋ったり、「あの子たちは、どうせ、ばからしい俗っぽいものにするわね」と言うのもむべなるかな……ストーリー・ガール、俗っぽいものにしちゃって、ごめんw)


エリアナンの魔女3 黒き翼の王(上)
The Pool of Two Moons (1998)
ケイト・フォーサイス / 徳間書店 (2011/02)

メガン&イズールト、イサボー各周辺の話もおもしろいし、エリアナン各地でさらに新しい動きが色々出てきて、ますますおもしろくなってきました。続巻がとっても楽しみ。でも、3巻までは毎月末に刊行されていたのに、4巻は3月末の予定が延びて4月に発売みたいなんだよねー。待ち遠しすぎる。
しかし、ツンデレカップルのデレっぷりがすさまじい。メガンの前で痴話喧嘩すんなw(「おれと仕事(火の造り手の跡継ぎ)とどっちが大事なんだよ」「仕方ないじゃないか、仕事なんだから…」「うわああーんイズールトの馬鹿! もう知らないんだから! 実家に帰っちゃえ!」そのまんまで笑った)。その一方で、イサボーの貧乏くじっぷりもすさまじい。イサボーが彼を助けた功労者なのに(笑)
ちなみに、いちばん好きな登場人物はイズールト。イズールトかわいいよイズールト(コリガンにやきもち焼いてるとこ)。イズールトかっこいいよイズールト(憲兵隊を全滅させたとこ)。(もう少しメガンの言うことに大人しく従ったほうがいいのでは、とも思うけど、そうすると物語が進展しなくなっちゃうのだろう……)

2011.04.03 23:59 | Comments(0) | Trackback(0) | 未分類

2011. 02. 28

2月に読んだ本まとめ

ちょっと早いですが、2月に読んだ本のまとめです。
新年の抱負に「古い作品を中心に、よりマニアックなチョイスを目指したい」と書いたくせに、ここ半年ほど新刊本(刊行されて数ヶ月以内の本)ばかり読んでるなー。
積んである新刊本もあるし、これからも読みたい新刊本が次々と出るし、もうしばらくこの傾向が続きそうです。


メルストーン館の不思議な窓 (創元ブックランド)
Enchanted Glass (2010)
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ / 東京創元社 (2010/12)

私はもう、ジョーンズ作品の良い読者ではなくなっているような気がする……。それはさておき、結末でとある事実が暴露され、わりとさらりと扱われているのだが、よく考えてみると、かなりひどい事実だと思う……。


悪魔に食われろ青尾蠅 (創元推理文庫)
Devil Takes the Blue-Tail Fly (1948)
ジョン・フランクリン・バーディン / 浅羽莢子 訳 / 東京創元社 (2010/12)

数年前にハードカバー版を読んだんだけど、内容をよく覚えていなかったので、文庫化を機に再読。


蕃東国年代記
西崎憲 / 新潮社 (2010/12)

装丁買い。倭国の西隣にあるという、架空の島国・蕃東を舞台にした幻想短篇集。ほのかなエキゾチックさも漂わせつつ、平安時代の古典を端正な文章で読んでいるような懐かしさがありました。「気獣と宝玉」に登場する集流の姫君は、「あなたがお嫁にもらってください」と素直に言えないツンデレ幼馴染みなのかと期待してみたら、単なる隣人迷惑美少女だった……。


ポリス猫DCの事件簿
若竹七海 / 光文社 (2011/01)

『猫島ハウスの騒動』 の続編、でいいのかな。猫島の派出所に一人で勤務している七瀬巡査と、マスコットキャラクターを務めるポリス猫DCが主役。この七瀬巡査が頼りなさそうな青年に見えて、ときどき鋭い冴えを見せるのだった。


深く、暗く、冷たい場所 (海外ミステリーBOX)
Deep and Dark and Dangerous (2007)
メアリー・D・ハーン / 評論社 (2011/01)

夏休みに湖のほとりの別荘を訪れた少女アリソンが、子供時代の母と伯母の秘密に巻き込まれていくゴーストストーリー。とは言ってもただひたすら怖がらせるタイプのホラーではなく、彼女にもその死を悲しんでくれる人たちがいたんだ(少々取ってつけたようではあるけれど)、ということにホッとした。子供の頃の秘密を引きずっているアリソンの母は、母親としては困った存在だけど、過去のことなんだからもう忘れてしまおうとするダルシーおばさんのほうが、私は嫌だなあ。
ちなみに、少女が休暇で訪れた先の古い屋敷で恐ろしい出来事に巻き込まれる、という似たような発端のYA向けホラーでは、リアノン・ラシター 『メイク・ビリーブ・ゲーム』 や、ロイス・ダンカン 『とざされた時間のかなた』 もなかなかおもしろかった作品。


魔女メガンの弟子(下) (エリアナンの魔女 2)
ケイト・フォーサイス / 徳間書店 (2011/01)

井辻朱美さん翻訳ということで読み始めた、魔女たちが王妃に迫害されるケルトっぽい世界が舞台の長編ファンタジーの2冊目。前巻よりもおもしろかったのは、イサボーよりも双子の姉イズールトのほうが好きなせいかな。彼女の場面が増えてるから。続きも楽しみになりました。
1巻のあの人物があんなに重要人物だったとは、意外だった。作品内の記述から計算してみると、今24歳くらいのはずだけど、16歳の双子姉妹と張り合うくらいの精神年齢……こんなんで、彼はこの先、ちゃんとやっていけるのか?(笑)


五番目のコード (創元推理文庫)
The Fifth Cord (1967)
D・M・ディヴァイン / 東京創元社 (2011/01)

殺人者の告白の日記とともに、地方都市で起こる連続殺人事件。その現場には、いつも棺のカードが残されていた……。割合シンプルながらも、プロットの巧みさに唸らされた。
ディヴァインは東京創元社で復刻が始まってから読み始め、これまで創元推理文庫で出た5冊は全部読んだけれど、出来に多少の差はあれど、ハズレがないのがすごい。


よくできた女(ひと) (文学シリーズ lettres)
Excellent Women (1952)
バーバラ・ピム / みすず書房 (2010/11)

第二次世界大戦直後のロンドンで、教区活動に勤しみつつ、平穏な一人暮らしをそれなりに楽しんでいる30過ぎの独身女性ミルドレッド。親切で面倒見が良いことから、新しく引っ越してきた隣人たちのドタバタに巻き込まれていく。
「これといった大した事件は起こらない」小説なのだけど、妙におもしろくって、一気に読んでしまった。ミルドレッドに対して不器用なアプローチをかける某男性登場人物と、好意を持たれていることに気づかない天然ミルドレッド、というささやかなロマンス部分(というかそのズレっぷり)も良いわ~。(ピムは「20世紀のジェイン・オースティン」と呼ばれているそうで、このあたり、『高慢と偏見』を連想しました。あとは、ミセス・グレイの厚顔ぶりのあたりとか。もっとも、オースティン作品ほど毒舌じゃないけど)


ボヘミアの不思議キャビネット (創元推理文庫)
The Cabinet of Wonder (2008)
マリー・ルツコスキ / 東京創元社 (2010/11)

中世ヨーロッパを舞台にしたファンタジー。主人公の少女ペトラは、ボヘミアの王子に奪われた天才時計職人である父の目を取り戻そうと、プラハのお城を目指す。シリーズものだけど、私はこの1冊目だけでいいや……。

2011.02.28 00:20 | Comments(0) | Trackback(0) | 未分類

2011. 01. 02

今年もよろしくお願いいたします

あけましておめでとうございます。
開店休業中のような状態ですが、ほそぼそと更新し続けるつもりはありますので、
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、2010年に読んだ本は、全102冊でした。
あまり読めていないような気がしていたんですが、思っていたよりは多かったです。
100冊越えはクリアできたので良かった。
何を読んだかは、読了本リスト もしくは 読書メーター でご覧いただけます。
そのなかから、印象に残った本を。(順不同)



マックス・ビアボーム 『ズリイカ・ドブソン』
去年始まった「20世紀イギリス小説個性派セレクション」の第3弾。
喜劇的で哀しくて、そして意地悪で。「イギリス小説を読む愉しみ」というのを堪能できた作品。



サラ・ウォーターズ 『エアーズ家の没落』
イギリスで原書が発売されたときからずっと読みたかった作品。そんな期待に充分応えてくれる素晴らしさでした。
ゴシック小説方面では、今年の春に文藝春秋から、ヴィクトリア朝が舞台の Michael Cox "The Meaning of Night" がやっと出るようなので、楽しみです。


ミステリ方面からは、この短篇集2冊を。

カミ 『機械探偵クリク・ロボット』
アヴラム・デイヴィッドスン 『エステルハージ博士の事件簿』
両方とも「探偵の事件簿」という体裁なのですけれども、かなーり異色です。前者はとってもお茶目なユーモア探偵小説の傑作、後者はちょっと胡散臭げな幻想味たっぷり(「探偵小説」でもある、んだけど、一ジャンルに留まらない作品)。
長編では、レオン・サジイ 『ジゴマ』。レトロな探偵冒険小説。こういうの、もっと読みたい……。



シャーロット・アームストロング 『風船を売る男』 『魔女の館』
2010年は、私のお気に入り作家シャーロット・アームストロングの翻訳が久しぶりに出た年でもありました。やっぱりいいよね、シャーロット・アームストロング。今年も彼女の作品を翻訳していただきたいです。(あっ、『魔女の館』 は今年に入ってから読んだ本だった…。出たのは去年だから、まあいっか)

***********************************************

私の専門ジャンル(?)、海外クラシック・ミステリと19世紀英文学があまり読めなかったのは、残念でした。(特に19世紀英文学はトマス・ハーディー1冊しか読めなかった……)
その代わり、現代海外ミステリは例年より若干多めに読めましたが、結局、(ミステリの分野においては)私は生きている作家が書いた作品よりも、もう何十年も前に死んでいる作家の作品のほうが好きだ、ということを再認識しただけでした……。(もちろん、お気に入りの現代作家もいますが)
というわけで、今年の読書は、古い作品を中心に、よりマニアックなチョイスを目指したいと思います(笑)。

2011.01.02 23:50 | Comments(0) | Trackback(0) | 未分類

2010. 11. 23

『ゴーストハント(1) 旧校舎怪談』 小野不由美

小野不由美 / メディアファクトリー (幽BOOKS)
2010-11
[ Amazon ]

長らく復刊が待望されてきたホラー長編『ゴーストハント(悪霊)シリーズ』が全編リライトで初の単行本化! 全7巻刊行予定。
取り壊すと必ず事故が起きると噂されている木造の旧校舎。高校1年生の麻衣はひょんなことから、調査に訪れた<渋谷サイキックリサーチ・SPR>所長のナルの手伝いをするはめに。そこで彼女を待っていたのは、個性溢れる4人の霊能力者たちと、身も凍るような怪奇現象だった。旧校舎に巣くっているのは戦没者の霊か、それとも――? (出版社の内容紹介文より)

以前から「悪霊シリーズ」の存在は知っていましたが、今回初めて読みました。
主人公・麻衣のときどき寒くなる一人称語りは1990年代の少女向けライトノベルそのままって感じで、星子さんシリーズとか連想して懐かしく思ったりしたけれど(笑)、怪奇現象の解明部分などはかなりカッチリしている印象を受けました。
心霊現象かと思われたことに合理的な説明がなされたかと思うと、今度は説明のつけようがなさそうな怪奇現象がまた新たに起こって……の繰り返しでページをめくる手が止まらず、おもしろかったので、続巻も読んでいこう。

(以下、ネタバレにつき反転)
今回は、自然現象や人間が起こしたポルターガイストだったことが解明され、心霊現象は何も起きていなかったけれど、続編には本物の心霊現象が登場するのかな?
それに、先日読んだリチャード・マシスンの 『地獄の家』 でも同じだったんだけど、登場人物たち、幽霊が起こすポルターガイストにはおおいに興味を持つのに、生きている人間が起こすポルターガイストには淡々としているというか、日常茶飯事みたいな態度なんだよねー。ポルターガイストを引き起こす人間って超能力者ってことだから、充分に重大事だと私は思うのだけど、これらの作品の登場人物たちはそうじゃないようだ。死後の存在が実在するか否かがもっとも重要で、生きている人間はたとえ超能力を持っていようが二の次ってことなのかなー。

2010.11.23 23:00 | Comments(0) | Trackback(0) | 国内作品

2010. 09. 26

『エアーズ家の没落』 サラ・ウォーターズ



The Little Stranger (2009)
サラ・ウォーターズ / 中村有希 訳 / 創元推理文庫
[ Amazon : 上巻 ] [ Amazon : 下巻 ]

ウォリックシャー州でかつて繁栄を誇った領主のエアーズ家。しかし、第二次世界大戦直後の今日では、残った一族もその住居であるハンドレッズ領主館も没落の一途を辿っていた。領主館で働いていたメイドの息子で長じて医師となったファラデーは、ある日、メイドの往診を頼まれて領主館を訪れたのをきっかけに、エアーズ家の人々と親しくなる。貴婦人そのもののエアーズ夫人、娘のキャロライン、戦争で深い傷を負った息子のロデリック――彼らと親交を深めていくファラデー医師。その一方で、館のあちらこちらで起こる異変が、時代に取り残されたエアーズ家の滅亡を後押ししていくのだった……。

原書が刊行されたときから、翻訳されるのをとても楽しみにしていた作品です。内容紹介を読むと、私の好みド真ん中だったんだもの!
実際に読んでみると、期待にたがわず、とても端正で正統派な「ゴースト・ストーリー」であり、素晴らしいゴシック・ロマンでした(ゴシック・ロマンが「主人公がお城を手に入れようとする物語」だとすれば、あの人物は望んだ形ではなかったとはいえ、自分だけの屋敷を手に入れたのだから。ついでに、ファラデー医師ってファーストネームがないのね……)。シャーリイ・ジャクスンの 『たたり(丘の屋敷)』 と本棚に並べておきたくなりました。
嬉しくなっちゃうほどのイギリス小説伝統の道具立て、それでいて、サラ・ウォーターズ独特の捻りが効いている。読み進むうちに、上で挙げた要素以外にもさまざまな側面を見せ、読者に答えを示唆しつつも、それに限定してしまわない余地を与えている。
あの最後の一文はなんとも素晴らしく、深い余韻を残す。

この作品はまた、お屋敷小説でもあります。過去の輝いていた時代のハンドレッズ領主館、そして現在のだんだんと寂れていく館の情景描写がとにかく濃密で、最初のほうなど、そっちに筆が割かれているためにストーリーはほとんど進んでないんじゃないかと思ってしまったくらい(笑)(もっとも、その陰でストーリーは深く静かに進行していたんだけどね……)
まるで自分もファラデー医師と一緒に屋敷の中を見てまわっているかのように感じられて、これは映像化されたものを是非観てみたいなー、と思ったのでした。

2010.09.26 23:00 | Comments(0) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

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読んだ本の感想メモ、気になる本の情報など。翻訳小説が中心です。特に好きなのは、海外古典ミステリと19世紀イギリス文学。
[ 管理人 : Rie ]

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