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2009. 01. 07

『空のオベリスト』 C・デイリー・キング

世界探偵小説全集21
Obelists Fly High (1935)
C・デイリー・キング / 富塚由美 訳 / 国書刊行会
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「4月13日正午、お前は死ぬ」国務長官の緊急手術に向かう著名な外科医カッター博士に送りつけられた不気味な犯行予告。ニューヨーク市警の敏腕刑事ロード警部は、あらゆる事態を想定して警護にあたったが、ニューヨークを飛び立って数時間後、その目の前で博士は倒れた――。上空数千フィート、空の密室ともいうべき飛行機の中で、果たして何が起きたのか。エピローグを巻頭に配した構成、手がかり索引など、さまざまな技巧を駆使し、フェアプレイを掲げて読者に挑戦する、パズラー黄金期の旗手キングの幻の名作。 (カバー折込より)

これって、構成とかが凝っているのはいいんだけど、あちこちで話が破綻してるんじゃないかなあ……?

【以下、ネタバレにつき反転】
  • カッター博士の喉を切り裂いた犯人は、凶器のブローチが機内に戻されていることから、飛行機に戻ってきた人間に限られる。それはスチュワーデスの証言により、フォンダとティンカムの二人。その後、フォンダのアリバイが証明された時点で、残るティンカムが犯人だということになる。これは読者には簡単にわかることだろう。しかし、探偵役のロード警部はこんな単純なことにまったく気づかずに、自分が反感を持っているアイザを犯人に仕立て上げることに躍起になっているのである。読者にはとっくに(切り裂きの)犯人わかっているのに、何をチンタラやってるんだよ。

  • そもそも、カッター博士の喉を切り裂く必要がどこにあるのか? すでに死んでるのに。博士がまだ生きていると思い込んでやったというのなら、納得できる。しかし、その行為に及ぶ前に「カッターの遺体を上から照らし、注意深く観察をはじめた。ふいにその人物は叫び声を発して顔を上げた(p148)」とある。これは、生きていると思っていた博士がもう死んでいることを発見して驚いたということだろう。なぜ「叫び声を発し」たのか他の解釈があるとしても、いずれにせよ、博士が死んでいるのには気づいたはずで、死人の喉を切り裂いてどうしようって言うんだ? フォンダに罪をなすりつけようとしたのだとしても、博士の遺体がいずれ司法解剖されることを考えれば、無駄な工作だということはすぐにわかるだろうし。

  • 博士がカプセルを吸い込んで倒れたときに、ポンズ博士が死亡確認をしている。この時点でポンズはロード警部の工作を知らされていないので、この死亡確認は事実だと考えられる。しかし、ロード警部の工作が明らかにされたときに、この件が問題にされていないのはおかしい。

  • 「近親相姦」は性的行為を指すのだから、妹に対する兄の/母に対する娘の精神的な独占欲を「近親相姦」というのは不適切だろう。ただ、これは原文ではどうなっているのかわからないので、翻訳上の問題かもしれないけれど。

  • しかし、探偵役の人物が大失敗しまくり、しかも、それが表立って書かれていない、という点はおもしろかったな(プロローグや「手がかり索引」を読めば、ロード警部がどんな失敗をしたのか読者自身で読み解けるという仕掛け)。ロード警部、踏んだり蹴ったりで散々だよなあ。実はフォンダに毒殺までされかかってるんだよねえ……。

    ※私の解釈が間違っているという部分がもしありましたら、コメント欄で指摘していただけるとありがたいです。

    C・デイリー・キングは以前読んだ 『タラント氏の事件簿』(→感想) がおもしろかったのだけれど、本作では一部の登場人物の描き方が偏りすぎているように思えて、他の作品読む気が失せた。

    * Tag : 世界探偵小説全集  

    2009.01.07 23:47 | Comments(0) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

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