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2008. 11. 08

『とどめの一撃』 ユルスナール

Le Coup De Grace (1939)
マルグリット・ユルスナール / 岩崎力 訳 / 岩波文庫
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「エリック! なんて変ったんでしょう!」ともに少年期を過ごした館に帰り着いたエリック、コンラートのふたりを迎えたのはコンラートの姉ソフィーだった。第一次世界大戦とロシア革命の動乱期、バルト海沿岸地方の混乱を背景に3人の男女の愛と死のドラマが展開する。フランスの女流作家ユルスナール(1903-87)の傑作。 (表紙より)

第一次大戦直後、バルト海沿岸諸国での反ボルシェヴィキ闘争に身を投じたプロシャ人の青年エリックは、少年時代のひと夏を過ごしたラトヴィアの片田舎クラトヴィツェにやってきて、そのときの友人コンラートに再会する。戦闘地帯にある彼の屋敷は志願兵たちの兵舎として接収されていたが、そこではコンラートの姉ソフィーも暮らしていた。ソフィーはエリックを情熱的に愛し、狂おしく追い求めるのだが、エリックはそれに応えることができず……。

話はさほど好きではないけれど、人間ドラマ・心理劇を無駄なく的確に浮き彫りにする著者の技巧に感嘆させられる小説というのがときどきあります。この 『とどめの一撃』 もそのひとつ。
ストーリーだけ取り出せば劇的な愛憎ドラマになりそうだけど、なんか違うんだよね。もっと寒々と、ヒリリとしている。

非常にくわしい序文(という名の、「こう読め」という細かい指定)もついているので、わかりにくい話ではないと思う。
この小説で特におもしろいな、と思ったのは、「三人」のうちの一人であるコンラートの描写がソフィーに比べて圧倒的に少ないこと。そのためにかなり影が薄く感じられるのだけど、著者が序文で指摘しているように、コンラートが重要な人物ではないからではない。しかし、エリックのコンラートへの数少ない言及には彼の性格に対する苛立ちが目立つので、エリックはそんなコンラートの一体どこを愛しているんだろうとも思ってしまう。
エリックの愛を得られない絶望とあてつけに次々と別の男たちに身をまかせるソフィーの情熱も、私にはちょっと理解しがたいなあ……。

2008.11.08 10:48 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学-20世紀前半

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