* Caramel Tea *

Reading Diary

--. --. --

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.-- --:-- | スポンサー広告

2008. 09. 10

『ラークライズ』 フローラ・トンプソン

Lark Rise (1939)
フローラ・トンプソン / 石田英子 訳 / 朔北社
2008-08
[ Amazon ]

1880年代イギリスの農村。オクスフォード州の寒村で営まれている、豊かではないが、我が身の働きによって暮らす人々の満ち足りた生活を、少女の溢れる詩情と好奇心を通して描く。イギリスで高校生の必読書とされ、長く読み継がれてきた古典的作品。 (帯より)

主人公の少女ローラや舞台となる小さな村ラークライズは架空の存在だけど、著者の幼少期をもとにして書かれた三部作の一作目。
ストーリーみたいなものはほとんどなくて、自伝というか回想というか、「ヴィクトリア朝後期(1880年代)のイギリスの農村の暮らし」の資料集の文学版って感じ。衣食住を始め、村や住人の様子、農作業、学校、教会、結婚妊娠出産子育て、日々の娯楽やお祭り行事などなど、テーマ分けされて、とにかく詳細に描写されている。住人のほとんどは小作農で、少年は12くらいで学校を卒業すると農場で働き始め、少女はメイドとして働きに出て結婚したら家事とひっきりなしの子育てに追われる、というのが定番だったようで、それについてもとても詳しく説明されている。
著者が実際に体験したことや見聞きしたことに基づいて書かれており、ローラ(=少女時代の著者)が周囲の人々を冷静に観察しているところがおもしろい。村の人々のほとんどは貧しく、それを示すエピソードも多く含まれているのだけど、私が勝手に想像していたよりものどかな暮らしぶりが伝わってくる。
しかし、著者がここまで事細かに書き残したということは、このような農村生活は執筆当時(1930年代)にはもう見られなくなっていたんだろう。「人々は今より貧しく、楽しみや娯楽も、知識も少なかった。でも彼らは今の人よりも幸せだったのだろう。(p79)」という懐古趣味めいた文章がそこかしこに顔を出す作品でもある。(私自身は、どの時代の人間が幸せだったかなんて話はナンセンスだと思っている。どの時代にだって、その時代なりの幸せもあれば不幸もあるのだから)

『赤毛のアン』 とほぼ同じ時代の話なので(アン1作目の物語背景は1870~80年代)、イギリスの田舎とカナダの田舎の生活を比べてみたりできるのもおもしろかった。まあ、自作農と小作農の違いもあってか、アヴォンリーの人々のほうがよっぽど裕福な生活を送っているんだけど。(訳者あとがきによれば「アメリカの開拓時代の生活を描いたローラ・インガルス・ワイルダーのアメリカのローラの物語に対し、イギリスのローラの物語とも呼ばれているそうです」ということだけど、「大草原の小さな家」シリーズは読んでいないので、そっちとは比べられないや)

この 『ラークライズ』 から始まる三部作は、今年初めにBBCで連続ドラマ化されています。
BBC - Drama - Lark Rise to Candleford
http://www.bbc.co.uk/drama/larkrise/

* Tag : 歴史/時代もの  

2008.09.10 18:30 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学-20世紀前半

■ この記事へのトラックバック

トラックバックURL ↓

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー専用)

※ スパム対策のため、TBは承認制になっています。表示されるまでに時間がかかることもありますので、ご了承ください。

■ この記事へのコメント

■ コメントの投稿

※ 「送信する」をクリックすると、コメント確認画面が出ます。「認証用キーワード」を半角数字で入力して再度送信してください。迷惑コメントを防ぐためですが、お手数をお掛けして申し訳ありません。

* Site Info

読んだ本の感想メモ、気になる本の情報など。翻訳小説が中心です。特に好きなのは、海外古典ミステリと19世紀イギリス文学。
[ 管理人 : Rie ]

* Search

* Recent Entries

* Categories

* Tag List

* Archives

* Other


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。