2008. 07. 11
『スコットランド・ヤード物語』
内藤弘 / 晶文社 1996[ Amazon ]
市民の10人に1人が犯罪者だといわれていた19世紀初頭のロンドン。世界最初の近代警察、ロンドン警視庁(通称スコットランド・ヤード)は誕生した。パトロール中、巡査たちはなぜ街路灯によじのぼったのか? 警察の「早朝めざましサービス」とは何か? 幕末の江戸にやってきたロンドンの警官たちの仕事とは? 膨大な資料を駆使して、運営の実際からシャーロック・ホームズ物語に隠されたエピソードまで、スコットランド・ヤードの知られざる歴史を浮き彫りにした、渾身書き下ろし。 (カバー折込より)
英国ミステリ好きにはおなじみ、スコットランド・ヤード。私なんか、当たり前のように「スコットランド・ヤード」「スコットランド・ヤード」と連呼しているけど、「スコットランド・ヤード=イギリスの首都警察の本部(ロンドン警視庁)」だと知らない人からしてみれば(そっちのほうが多数派だろうね)、「何それ?」状態だよな……と先日、ふと思いました。昔、スコットランド王家の在ロンドン邸があった場所が「スコットランド・ヤード」と呼ばれており、その場所に1829年にロンドン警視庁が置かれたことからこの名で呼ばれるようになったらしい。(その後、2回移転しています。私も初めてロンドンに行ったときには現在の建物を見に行ってきました(笑)。「New Scotland Yard」と書かれた看板がくるくる回ってるんだよね〜、勿論中に入る用事なんてないので前を通っただけだったけど。しかし、本書によると、建物内に「首都圏警察歴史博物館」があるらしい。一般客でも見学できるのかな?)
で、本の内容について。
ヴィクトリア朝におけるスコットランド・ヤードの説明が中心で、それについてはとにかく詳しく書かれています。ロンドン警視庁の組織体系や仕事の内容などから、警官の一日の細かいスケジュールや給与事情にいたるまで。他の資料本からの引用なんてのもなくて、当時の内部記録に直接当たっているし。
もっとも、私は20世紀に入ってから――探偵小説黄金期当時の警察の様子も知りたかったのに、そのあたりはほとんど触れられていなくて、それはちょっと残念だったな。特に、バロネス・オルツィの 『レディ・モリーの事件簿』 に関連して、女性が警官や刑事として働き始めた経緯を知りたかったんだけど……。
あと、英国ミステリではスコットランド・ヤードの刑事が地方で起きた事件の捜査に派遣されてくるという話が多く、その点では日本の警視庁とは仕組が違っていて、ちょっと不思議に思っていたんですよね。それで、その説明があるといいなと思っていたのだけど、「ヤード刑事はまた、地方の警察から捜査の依頼がくるたびごとに地方へ出張した。(p192)」の一文で済まされていました……(苦笑)。
しかし、その次の行に気になる一文を発見。「一八二七年ごろから、本庁の刑事は総監命令で上流社会のひとびとが外出するとき、または海外旅行をするとき、ボディ・ガードとしてかれらのおともをするようになった。この慣行はそののちもずっとつづいた」。個人的なボディ・ガードも仕事に含まれていたのか。このようなシチュエーションが出てくる小説があったら、読んでみたいなあ。
ついでに。イギリスの警察というと、この映画が観たい。とっても楽しそう……。
映画『HOT FUZZ ホットファズ-俺たちスーパーポリスメン!-』
http://hotfuzz.gyao.jp
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