2008. 05. 10
『紳士たちの遊戯』 ジョアン・ハリス
Gentlemen & Players (2005)ジョアン・ハリス / 古賀弥生 訳 / ハヤカワ・ミステリ文庫
伝統あるグラマースクールのセント=オズワルド男子校。この学園に激しい憎悪を抱く人物がいた。新任教師のひとりとなってセント=オズワルド校へやって来たその人物は、15年前の事件の復讐を水面下で開始し、学園を危機へ陥れていく。そして真の敵として、セント=オズワルド校を象徴する人物である勤続33年のラテン語教師ロイ・ストレートリーに戦いを挑むのだった。
学園サスペンスって、どうしてこんなにおもしろいんだろ。閉鎖的な空間、学園外では通用しないが学園内では絶対的なルール。そこだけで完結した世界に、思春期の生徒たちの無邪気な残酷さ、教師も巻き込んだ歪な人間関係がぎゅっと濃縮されているからだろうか。この作品は、そんなセント=オズワルド校という一つの閉じた世界に、外部から侵入して自分の居場所を切り開こうとする主人公、というか犯人の話です。
この犯人、セント=オズワルド校に愛憎入り交じった過剰な執着心を抱くところにはついていけないけれど、終盤になるとだんだん魅力的に感じられてくるのが不思議。
また、教師の目線から書かれた現在進行形の事件の話と並行して、15年前の事件の話が生徒側の目線から書かれているので、複雑な青春ものとしても読めるところも良かった。
【 ネタバレにつき以下反転 】
ところで、これは叙述ミステリですよね……? 犯人の性別をはっきりさせずに書いて、ジュリアンという名前で男子校の生徒として振舞っているのだから、犯人は男だろうと読者に思い込ませておいて、実は女だったんですよー、という。(ここで男子校という設定がさらに活きてくるわけだ。そのうえ、犯人は社会格差のみならず、性別の点でもセント=オズワルド校に拒まれたということになる)
作者が叙述トリックを使っているのなら、なぜ早川はそれをだいなしにするような表紙にしたんだろう?
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