2008. 04. 27
『エヴァ・トラウト―移りゆく風景』 エリザベス・ボーエン
Eva Trout, or Changing Scenes (1969)エリザベス・ボウエン / 太田良子 訳 / 国書刊行会
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無口で大柄、ジャガーを乗り回す女ヒロイン、エヴァ・トラウト。母親はエヴァを産むとすぐに恋人と駆け落ちして飛行機事故で亡くなり、男の愛人を連れていた父親はのちに自殺し、莫大な遺産をエヴァに残す。巨万の富を手にしたエヴァは、イギリスを飛び出して渡米し、降誕節の夜、不正に子どもを手に入れる。しかしそうして手にした男児は耳が聞こえなかった――両親に見捨てられ、ことばを信じず、一度として泣いたことがないエヴァの愛をめぐるクロニクル。 (出版社の内容紹介より)
国書のボウエン・コレクション第一弾。
これは翻訳があまりよくないんじゃないだろうか……ただでさえわかりにくい話なのに、翻訳でさらにわかりづらくなっている気がする。
エヴァが何故、滞在先のイズー(寄宿女学校在学時の英語教師)の家を飛び出したのか。何故、自分で男の赤ん坊を育てようと思ったのか。他の登場人物が自分の考えを述べているし、読者はある程度推測することができるけれど、エヴァを始めとする登場人物たちの行動の理由が明確に説明されることはない。だけど、確実なことが掴めないその分、エヴァを利用しようとすると同時にエヴァの言動に振り回される食えない人々の、本心を隠したやり取りがスリリングだったりする。
ここがおもしろい!とか言うことはできないけれど、じわじわと滋味深さが染み出してくるような作品でした。ボウエンは短篇集 『あの薔薇を見てよ』 がとても良かったけど、長篇もいいな。『パリの家』 も読んでみたくなった。
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