2008. 01. 28
『オーランドー』 ヴァージニア・ウルフ
Orlando: A Biography (1928)ヴァージニア・ウルフ / 杉山洋子 訳 / 国書刊行会
世界幻想文学大系39
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(左の表紙画像とリンク先はちくま文庫版)
オーランドーとは何者? 36歳の女性にして360歳の両性具有者、エリザベス1世お気に入りの美少年、やり手の大使、ロンドン社交界のレディ、文学賞を受賞した詩人、そしてつまりは…何者? 性を超え時代を超え、恋愛遍歴を重ね、変化する時代精神を乗りこなしながら彼/彼女が守ってきたもの。奇想天外で笑いにみちた、再評価著しいウルフのメタ伝記。 (ちくま文庫版の内容紹介より)
読んでいる最中はあまりページが進まなかったのですが、読み終えて振り返ってみると、おもしろかったなあ、と。
少しずつ年を取りながらエリザベス1世の時代からずっと生きてきて、さらに途中(30歳のとき)まで男性だったのにある日目覚めてみたら女性になっていたオーランドー。伝記風に書かれたオーランドーの人生を通して、エリザベス朝から1928年(作品が発表された年)までの360年間のイギリスの歴史と時代が移り変わりゆく様を眺めるような感じで、そのなかに各時代の文化・社会批評や文学批評などが盛り込まれています。さらにオーランドーが男であること・女であることの両方を経験し、双方の感情を理解できる立場になったことから、男女論のようなものも繰り広げられます。まあとにかく様々な事柄についてのウルフの見解が詰め込まれていて、それらがウルフのおしゃべりのごとく少々饒舌にユーモラスに語られるのが楽しかったです。それに、オーランドーが超越したような存在ではなく、その時その時の風潮に影響を受けがちである(書いている詩の文体・内容も変化していく)ところも、なかなかおもしろかったな。
(ところで、社会風刺のなかでも特にヴィクトリア朝が槍玉に挙げられていたのは、モダニズムの作家であったウルフにとっては、やはり好きになれない時代だったのかな〜)
この作品は、ウルフの恋人だったヴィタ・サックヴィル=ウェスト(有名な庭―シシングハースト庭園を造った人ですね。私にとってはそっちの印象のほうが大きいや)に捧げられていて、オーランドーはこのヴィタがモデルなんだそうです。さらに、エリザベス1世の親戚かつお気に入りの臣下であったり、大使となって異国へ出向いたり、というオーランドーの経歴は、ヴィタの生家で英国貴族だったサックヴィル家の先祖たちのものの組み合わせなのだとか。(オーランドーの住む館もサックヴィル家の大邸宅ノールがモデル)
このように、イギリスの文学史でもあり、社会史でもあり、ジェンダー文学でもあり、ヴィタの伝記でもあり、サックヴィル家の伝記でもあり、それ以外にも様々な要素が重ねあわされていて、奇想天外でにぎやかな物語でした。
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