* Caramel Tea *

Reading Diary

2007. 12. 09

『エンジェル』 エリザベス・テイラー

Amazon.co.jp で詳細を見るAngel (1957)
エリザベス・テイラー / 小谷野敦 訳 / 白水社
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田舎町ノーリイの食料品屋の一人娘エンジェルは、退屈な毎日をやり過ごすために、「パラダイス・ハウス」という屋敷の物語を拵えている。そこは、叔母のロティが侍女として仕えている屋敷で、「エンジェル」という名前も令嬢アンジェリカにあやかったものだった。エンジェルは、想像力と自負を頼りに処女作を書き上げ、若くしてベストセラー作家として成功する。憧れのパラダイス・ハウスを買い取り、思い描いた人生を手にしたかに思えたが、運命の落とし穴は思わぬところにひそんでいた…。二つの大戦を生き、大衆に人気を博したある奇妙な女性作家の栄光と転落。鋭い批評眼とユーモアをこめて描かれる、20世紀英国小説の隠れた名作、初の翻訳。 (出版社の内容紹介より)

1900年から始まってその後約半世紀のイギリスを舞台に、変人とも言える女性大衆小説作家の一生を描いた作品。
貴族の世界に憧れて周囲の平凡な人々を軽蔑し、虚栄心が強くて嘘で身を飾り立て、傲慢で他人の話に耳を貸さず、いつも自分が正しく間違っているのは世の中のほうだと言わんばかりの主人公エンジェル。しかし、それもこれもすべて根深いコンプレックスや満たされることを知らない心の裏返し。こんな強烈な自意識過剰女、実生活では決して近づきたくはありませんが、著者テイラーのユーモアと皮肉まじりの描写はエンジェルの姿をいささか滑稽にすら見せるので、エンジェルに対しては反感を抱くよりも、むしろ興味を持って生温く見守るような感じ。とは言え、前半の少女時代から結婚するまではエンジェルもたいそう威勢がよくて、とてもおもしろく読めたのですが、彼女の人気が下り坂になり結婚生活の破綻も見えてくる後半部分は、哀れさというか痛々しさが前面に出てきてしまって、ちょっと辛かったです……。


エンジェル (ランダムハウス講談社 テ 2-1)この作品はフランソワ・オゾン監督によって映画化され、その日本公開に合わせたのか(映画の日本版公式サイト)、ランダムハウス講談社からも別訳が文庫本で出ています。

2007.12.09 22:40 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学

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