2007. 06. 16
『おしゃべり雀の殺人』 ダーウィン・L・ティーレット
世界探偵小説全集23The Talking Sparrow Murders (1934)
ダーウィン・L・ティーレット / 工藤政司 訳 / 国書刊行会
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「雀がしゃべった……」謎の言葉を残して老人は息絶えた。それが恐るべき連続殺人の始まりだった。ヒトラーが政権を掌握、ナチスのユダヤ人襲撃が頻発する緊迫した状況下のドイツの古都ハイデルベルクで、アメリカ人技術者が巻き込まれた謎の殺人事件。毎日決まった時刻に松の木に敬礼する男、主人公をつけねらう不気味なナチの指導者……次々に降りかかる難問を解決して、果たして無事アメリカ行きの船に乗ることが出来るのか。1934年、迫り来る戦争の影のなか発表され、ドロシー・セイヤーズが絶賛した異色ミステリ。 (カバー折込より)
訳ではなくて原文のせいだと思うけど、非常に読みにくい作品でした。
冒頭なんの前置きもなく物語が始まるので、現在進行形の話(主人公の一人称語り)だと思って読んでいたら、40ページを越したところで突然「今にして思えば〜」とか「後になって考えてみれば〜」という、「そのときの私たちには知る由もなかった」系統の文章が出てくる。なんだこれ、主人公が事件を回想して書いているという設定だったのか。それに、場面転換が唐突すぎるところもあったし…。
ナチスが脅威を振るいつつあるドイツの不穏な様子が描写され(ユダヤ人の虐殺死体が公園に転がっている話にはぞっとさせられる)、異様な雰囲気が作品全体を覆っている点では、まさに「異色」と言える作品(作者は1920年代後半にドイツに留学していたそうです)。しかし、その背後に、「ノーテンキなアメリカ人青年が異国で事件に巻き込まれる(謎めいた美女とのロマンス付き)」というお決まりの展開といい、無理にタイムリミットを設定している点といい、いかにも「アメリカ人作家が書いた」という感じのものがチラついて見えるのが興醒めでした。
* Tag : 世界探偵小説全集
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