* Caramel Tea *

Reading Diary

2007. 01. 05

『睡蓮の教室』 ルル・ワン

Amazon.co.jp で詳細を見るThe Lily Theater (1997)
ルル・ワン / 鴻巣友季子 訳 / 新潮クレスト・ブックス
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1972年、文化大革命下の中国。12歳の水蓮は、母と暮らす地方の「再教育施設」で、ともに収容された知識人たちから学校では決して教えてくれないことを学ぶ。友だちのいない日々の慰めは、睡蓮の浮かぶ池のほとりで、カエルやコオロギに架空の講義をすることだった。やがて北京の学校に戻った彼女は、貧しさゆえに蔑まれる級友・張金を助け、彼女を最優等の地位に押し上げるのだが―。欺瞞と差別に満ちた時代を懸命に駆け抜けたふたりの少女。その友情と性のめざめを描く、野心的自伝長篇。

文革時代の北京で思春期を過ごし、のちにオランダに渡った中国系作家の作品。
訳者あとがきの「おそらく本書は、優等生的な語り手・蓮よりも、ある種超人的なパワーをもつ金の成長と失墜の物語として読むほうが、ずっとおもしろい」という文章に同意。蓮はどうも、「金のレベルに合わせてあげている」臭が抜け切らないので……(彼女は金を蔑むクラスメートたちに激しい怒りを覚えるが、金をあとで慰めることはあっても、皆の前でかばうことはない。そもそも物語開始早々から三人がかりで級友をいじめているような有様だし)。あと、あの結末は……他に話の終わらせようがなかったのかなあ。納得しがたい……。
著者は文化大革命を強い批判をこめて描いているが、読後に印象に残ったのは、文革にかかわらずそれ以前から存在する根強い身分差別だった(「農民に学べ」というスローガンのもとであっても、ブルジョワ階級は農民階級を見下している)。貧しい農民(第三階層)の家庭に生まれ育った金はそこから抜け出そうとして叩きのめされ、蓮(第二階層)さえも身分意識から自由になることはできず、金を「第三階層の子」として時として上から見ている。そして今なお、中国では「二等国民」と呼ばれる(農村戸籍に縛られて移動の自由がなく社会保障や教育、医療で圧倒的に不利な扱いを受けてきた)農民が8億人も存在し、急成長する都市部とは大きくかけ離れた貧しい生活を送っている、と先日の新聞で読んだ。

* Tag : 新潮クレスト・ブックス  

2007.01.05 23:34 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学

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