2005. 07. 30
『愛の果ての物語』 ルイザ・メイ・オルコット
A Long Fatal Love Chase (1866)ルイザ・メイ・オルコット / 広津倫子 訳 / 徳間書店
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18歳のロザモンド・ヴィヴィアンはイギリスの小さな島で、愛情のない祖父と二人きりの孤独な生活を送っていた。ある日、祖父のもとを大金持ちのフィリップ・テンペストが訪れる。ロザモンドは自分の倍近い年の、どこか陰のあるテンペストと恋に落ち、二人は結婚してフランスへと旅立つ。しかしやがてロザモンドは、その結婚が罠であり、テンペストの恐るべき秘密に気づき始める――。
再読。
オルコットが 『若草物語』 発表の2年前に書いたものの、出版されないままお蔵入りとなり、1995年になってやっと書籍化されたという、ゴシック・スリラー。
『続・若草物語』 で、家計を助けるために「センセーショナルな通俗小説」を書きなぐって原稿料を稼いでいたジョーが、尊敬するベア教授から「そういう小説はひどいくずで、若い人や子供たちの害になる」と言われて恥ずかしく思い、通俗小説を書くのをやめるという場面がありますが、ジョーが書いていたのって、この 『愛の果ての物語』 のような話だったのかなー(それとももっとどぎつかったのだろうか)と両作品を読み返すたびに考えてしまいます。オルコットも、『若草物語』 で名を成す前は生活費のためにスリラー小説をたくさん書いていたんだとか。ただ、お金のためだけに書いていたジョーとは違い、オルコットは派手なスリラー小説を書くのを好んでいたようですが。
内容のほうはというと、テンペストの秘密を知って逃げ出したロザモンドを、彼女を執着的に愛するテンペストがどこまでも追いかけてくるというストーリー。
御都合主義なところも多々あるものの、ニース、パリ、フランスの修道院、ドイツの温泉保養地、ライン河下りなど舞台がめまぐるしく変わり、逃亡に次ぐ逃亡、追跡に次ぐ追跡で、この時代の小説としては実にスピーディーな展開でスリリング。オルコットにはストーリーテラーの才能もあったんだなあと思わされます。
ヒロインのロザモンドについては、行動力のある意志の強い女性で、運命に流されずクヨクヨしていないところはいいけど、本文中で彼女の魅力・美点がこれでもかというほどに賛美されているので、読んでいるこっちはちょっと白ける…。また、ロザモンドにしても、中盤から登場する司祭にしても、その倫理観・道徳心の強さがクライム・ノヴェルの登場人物としては潔癖すぎて、その点はちょっと鬱陶しいな。
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