* Caramel Tea *

Reading Diary

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2008. 09. 28

『ジャック・マッグズ』 ピーター・ケアリー

Jack Maggs (1997)
ピーター・ケアリー / 宮木陽子 訳 / DHC
2000-11
[ Amazon ]

1837年、流刑囚としてオーストラリアに流されていたジャック・マッグズは、露見すれば死刑となる危険をおかし、密かにロンドンに舞い戻ってきた。ところが到着を知らせてあった屋敷には当主はおろか使用人の姿もない。誤解をさいわい隣家の従僕におさまったマッグズは、「息子」である当主の帰りを待つことにした。マッグズに関心をもった新進作家のオーツは、マッグズの息子の捜索への協力と引き換えに、催眠実験の被験者となるよう取り引きを申し出る。持病の治療のためと説得されしぶしぶ承諾したマッグズだが、オーツは催眠実験でマッグズの正体をつかんでいた。 (カバー折込より)

ディケンズの 『大いなる遺産』 を下敷きにして書かれた作品。ちなみに 『大いなる遺産』 は十年くらい前に読みましたが、ミス・ハヴィシャムの印象だけ強く残っていて、他はあまりよく覚えていない状態。
訳者あとがきでは本作はかなり高く評価されているけれど、私にはどこがどう良いのかさっぱり……。著者は一体、この小説を通して何を語りたかったのか? どうにもピンとこなかった。
副主人公格の作家トゥバイアス・オーツは、若き日のディケンズを元にしているらしい。けれど両者が同じなのは経歴や環境だけで、ディケンズ本人がオーツのような、情けない男であるうえに人でなし(催眠術をかけてマッグズが秘密にしておきたかったことを暴いてしまったり、その様子をマッグズ本人の許可を得ずに他人に見せたり、オーツが蒔いた種が原因で二人も人間が死んでしまったり)だったとは到底思えない。オーツをディケンズとはかけ離れた人物にしたところに何か意味はあったのだろうか?
『大いなる遺産』 をちゃんと読み直してみようかな、という気になったことが唯一の収穫。


【原書】
Jack Maggs
by Peter Carey
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* Tag : 歴史/時代もの  

2008.09.28 23:32 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学

2008. 09. 23

ツタヤ

少し前のことになりますが、私の住んでいる市にツタヤができました。
さっそく偵察に行ってきたところ……
創元推理文庫のあまりの少なさに驚いた!
国内作品がちょこっと、海外作品に至ってはフロストシリーズが何作か平積みにされているだけ。
ハヤカワは小さな棚ひとつぶんくらいあったんですけどねー。
創元、もっとがんばれ……。
もっとも創元に限らず、書籍の品揃えはかなり貧弱だったから、あのツタヤへ本を買いに行くことはないでしょう。


レンタルDVDのほうは、開店記念で旧作が100円だったので、新しめの映画をいくつかと、「ゴーメンガースト」のBBCドラマ版が置いてあったので、それを借りてきて観ました。

ゴーメンガースト
(DVD - 2002)

TVドラマとして作られたものなので合成映像のチャチさが目につきますが、小説の映像化としては成功している作品だと言えるのではないでしょうか。おもしろかったです。
しかし、登場人物たちのドラマは非常に良く映像化されている一方で、その背景となる、あのゴーメンガーストの陰鬱な世界は小説で読んでこそだ、と思いました。
ずっと前から小説再読したいと思っているんだけどねえ、一冊読むのにかなり時間がかかる本なのでなかなかその余裕ができないのよね……。

タイタス・グローン―ゴーメンガースト三部作 1 (創元推理文庫)
マーヴィン・ピーク / 浅羽莢子 訳 / 東京創元社

2008.09.23 23:14 | Comments(0) | Trackback(0) | 未分類

2008. 09. 18

『永久の別れのために』 エドマンド・クリスピン

The Long Divorce (1951)
エドマンド・クリスピン / 大山誠一郎 訳 / 原書房
2000-9
[ Amazon ]

のどかな田舎のコットン・アバス村の人々は、次々に送りつけられる中傷の手紙に悩まされていた。そんななか、資産家の独身女性ベアトリスが自宅で首を吊っているのが見つかる。中傷の手紙を苦にして自殺したのだと考えられたが、なぜか手紙が入っていたはずの封筒が見つからない。さらに数日後には、中傷の手紙を調査していた男が殺され、ベアトリスが遺言状で遺産相続人に指名していた村の開業医ヘレン・ダウニングに容疑が向けられる……。

クリスピンの長編8作目。
この作品にはジャーヴァス・フェン教授は出てこないのかなー(登場人物一覧にも名前が出てないし)、と思いつつ読んでいたら……ははーん、そういうことだったのね~。おなじみの老教授ウィルクスの名前も一度だけ出てくるんだけど、そのシチュエーションに思わず噴き出した(笑)。
話は女医のヘレンを中心にして進み、彼女の心情やロマンス、周囲の人間関係などは細やかに書かれている。その反面、他の容疑者たちの描写がかなり少ないため、事件の真相が語られる場面が唐突に感じられてしまう。しかし、なぜ封筒が見つからなかったのかという点から犯人を割り出していくところなどはよく出来ていると思います。

* Tag : エドマンド・クリスピン  

2008.09.18 23:06 | Comments(0) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

2008. 09. 15

最近読んだ本2冊

ちょっと気になってたんですが、東京創元社の来月の新刊予定に入っている、ダイアン・デュエイン 『駆け出し魔法使いとはじまりの本』 って、以前に富士見文庫から出ていた 『魔法使いになる方法』(ダイアン・デュアン) と同じ作品だよね?
創元ってなんか最近、他社作品の復刊・新訳というのが多い?

最近読んだ日本人作家の本、2冊まとめて。

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肉屏風の密室
森福都 / 光文社 (2008/07)

蔡知事は寒い季節になると、“肉屏風”と称して、暖房代わりの侍女たちに隙間なく囲ませ、その中で酒を飲んだり寝たりと破廉恥の限りをつくしていた。ある朝、腹に短剣を突き立てられ、息絶えているのが発見された。容疑者としてあげられた侍女たちは、手を鎖でつながれた上、徹底的に身体検分が行われていた。果たして犯人は? (出版社の内容紹介より)

『十八面の骰子(さいころ)』 に続く、巡按御史が主人公の中国時代ミステリー連作短篇集2作目。
表題作など、不可能犯罪状態を作り出すための設定が強引すぎるとか、ご当地ミステリー的ノリなために殺人トリックバレバレとかいう難はあるけれど、お話としてはおもしろかったです。主人公・希舜のくわしい過去話なども出てくるし。

ところで、なかなか色っぽい表紙絵なんですが、『十八面の骰子』 のハードカバー版とも、文庫版とも、まったく雰囲気が違う。シリーズものなんだから統一したりとかしないのか?


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おそろし 三島屋変調百物語事始
宮部みゆき / 角川書店 (2008/07)

ある事件を境に心を閉ざした17歳のおちかは、神田三島町の叔父夫婦に預けられた。おちかを案じた叔父は、人々から「変わり百物語」を聞くよう言い付ける。不思議な話は心を溶かし、やがて事件も明らかになっていく。 (出版社の内容紹介より)

作中で語られる怪談話はなかなかおもしろかったんだけど、おちか本人の事件の話となるとどうにも安易な展開に思えてしまう。単なる怪談短篇集だったほうが好みなんだけど、そういうわけにもいかないんだろうなあ……。
いちばん納得がいかない点は、良助のDQNぷりがスルーされていることだ。子供の頃から弱いものいじめをしてはばからないような男で、だいたい凶器を持ち出したのは良助のほうで、それを取り上げられなければ彼のほうが殺人者になっていただろうに(返り討ちにあっても自業自得だよなー)、そんな最低男を結婚相手に選び、今でも愛しく思い出すおちかが主人公という時点でまず白け、他の登場人物がおちかのことを「優しい」「優しい」と言い続ける時点でさらに白けてしまう。そもそも松太郎というのが都合の良すぎる存在だし、茶番劇……とまで言うとさすがに言い過ぎか……。

* Tag : 歴史/時代もの  

2008.09.15 23:04 | Comments(0) | Trackback(0) | 国内作品

2008. 09. 10

『ラークライズ』 フローラ・トンプソン

Lark Rise (1939)
フローラ・トンプソン / 石田英子 訳 / 朔北社
2008-08
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1880年代イギリスの農村。オクスフォード州の寒村で営まれている、豊かではないが、我が身の働きによって暮らす人々の満ち足りた生活を、少女の溢れる詩情と好奇心を通して描く。イギリスで高校生の必読書とされ、長く読み継がれてきた古典的作品。 (帯より)

主人公の少女ローラや舞台となる小さな村ラークライズは架空の存在だけど、著者の幼少期をもとにして書かれた三部作の一作目。
ストーリーみたいなものはほとんどなくて、自伝というか回想というか、「ヴィクトリア朝後期(1880年代)のイギリスの農村の暮らし」の資料集の文学版って感じ。衣食住を始め、村や住人の様子、農作業、学校、教会、結婚妊娠出産子育て、日々の娯楽やお祭り行事などなど、テーマ分けされて、とにかく詳細に描写されている。住人のほとんどは小作農で、少年は12くらいで学校を卒業すると農場で働き始め、少女はメイドとして働きに出て結婚したら家事とひっきりなしの子育てに追われる、というのが定番だったようで、それについてもとても詳しく説明されている。
著者が実際に体験したことや見聞きしたことに基づいて書かれており、ローラ(=少女時代の著者)が周囲の人々を冷静に観察しているところがおもしろい。村の人々のほとんどは貧しく、それを示すエピソードも多く含まれているのだけど、私が勝手に想像していたよりものどかな暮らしぶりが伝わってくる。
しかし、著者がここまで事細かに書き残したということは、このような農村生活は執筆当時(1930年代)にはもう見られなくなっていたんだろう。「人々は今より貧しく、楽しみや娯楽も、知識も少なかった。でも彼らは今の人よりも幸せだったのだろう。(p79)」という懐古趣味めいた文章がそこかしこに顔を出す作品でもある。(私自身は、どの時代の人間が幸せだったかなんて話はナンセンスだと思っている。どの時代にだって、その時代なりの幸せもあれば不幸もあるのだから)

『赤毛のアン』 とほぼ同じ時代の話なので(アン1作目の物語背景は1870~80年代)、イギリスの田舎とカナダの田舎の生活を比べてみたりできるのもおもしろかった。まあ、自作農と小作農の違いもあってか、アヴォンリーの人々のほうがよっぽど裕福な生活を送っているんだけど。(訳者あとがきによれば「アメリカの開拓時代の生活を描いたローラ・インガルス・ワイルダーのアメリカのローラの物語に対し、イギリスのローラの物語とも呼ばれているそうです」ということだけど、「大草原の小さな家」シリーズは読んでいないので、そっちとは比べられないや)

この 『ラークライズ』 から始まる三部作は、今年初めにBBCで連続ドラマ化されています。
BBC - Drama - Lark Rise to Candleford
http://www.bbc.co.uk/drama/larkrise/

* Tag : 歴史/時代もの  

2008.09.10 18:30 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学-20世紀前半

2008. 09. 08

英「タイムズ」誌が選ぶ最も偉大なミステリ作家ベスト10

先日、話題に取り上げた『英「タイムズ」誌が選ぶ最も偉大なミステリ作家ベスト10』。
http://xbrand.yahoo.co.jp/magazine/courrierjapon/146/1.html
いったい誰が選んだのか、どういう基準で選んだのか、気になり始めた。
しかし、上の記事には元記事の詳しい紹介も何もない。
というわけで、自分でTimesのサイトから元の記事を探してきました。

The 50 Greatest Crime Writers - Times Online
http://www.timesonline.co.uk/tol/global/article3773630.ece

名前のリストに一言紹介付き。1位のハイスミスは「Rule-breaking master of amorality」だそうで。
ページの下のほうに、読者からの投稿コメントが載っていて、それを見るとやはり異論反論が多いみたい。
ただ、「○○はもっと上位じゃないの」「××の評価が高すぎる」とかランキングに入っている作家へのコメントは少なくて、「どうして△△が入っていないの」というコメントが多い。クイーンとかイネスとかクロフツとかナイオ・マーシュの名前もあがっています。
特に頻繁に名前があげられているのが、Peter Robinson。ピーター・ロビンスンって読んだことなかったけど、それなら一度読んでみようかなー。
あと、ついでにおもしろいのが、「John Creaseyはうちの父です」というコメントがあること。ジョン・クリーシーの息子さんって、ええーっ(笑)。

この企画のトップページはここ。
http://www.timesonline.co.uk/tol/system/topicRoot/Top_50_books/
(下のほうには、「The 50 greatest British writers since 1945」というランキングも)
ランクインしている作家の紹介とか
http://entertainment.timesonline.co.uk/tol/arts_and_entertainment/books/
article3767441.ece

この記事は、選んだ人のコメントかな?
(お粗末な英語力なので、読み間違えている部分などあったらすみません)

2008.09.08 22:53 | Comments(0) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

2008. 09. 03

『チェンジリング・シー』 パトリシア・A・マキリップ

The Changeling Sea (1988)
パトリシア・A・マキリップ / 柘植めぐみ 訳 / 小学館ルルル文庫
2008-09
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海で父を失った少女ペリは、海に執着する王子キールに出会い、どこか親近感を覚える。ある時ペリがキールに頼まれるまま、見よう見まねの「呪い」を海に流すと、黄金の鎖をかけられた海竜が現れた! さらには、その騒ぎの中に現れた謎の魔法使いリョウの魔法から、思いもよらぬ出来事がおこり…!? さまざまな形で海に心を捕らわれた少年少女たちの解放を描く幻想ファンタジー。 (裏表紙より)

海や光の幻想描写には相変わらずうっとりさせられるし、おもしろかったんだけど、どこかモヤモヤっとした気持ちなのはどうしてなんだろう……うーん、自分でもよくわからない。思ったよりもあっさり終わったなーとか、結末に納得は出来るけど(暗示させるような記述はそこかしこにあったので)やっぱり唐突でしょ~とか、その辺かな?
魔法使いリョウがわざわざ若者設定なのは何か裏があるのかなーと思いつつ読んでいたんだけど、あー、なるほどそっち方面の需要でしたか……(笑)。彼については、もう少し来歴とか背景とか読みたかったな。
(ペリが海竜に言葉を教えるエピソードが微笑ましくて良かった。もっとも、彼がキールと同い年であることを考えると、微笑ましいと言うには「育ちすぎ」って感じがしないでもないが……)


【原書】
The Changeling Sea
by Patricia A. McKillip

* Tag : パトリシア・A・マキリップ  

2008.09.03 19:22 | Comments(0) | Trackback(0) | SF&ファンタジー

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