* Caramel Tea *

Reading Diary

--. --. --

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.-- --:-- | スポンサー広告

2007. 10. 25

『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』 ウィリアム・ブリテン

Amazon.co.jp で詳細を見るThe Man Who Read John Dickson Carr and other stories (1965-1978)
ウィリアム・ブリテン / 森英俊 訳 / 論創海外ミステリ68
[ Amazon ]

J・D・カーに捧げる密室殺人 傑作パロディ全14編
ホームズ、ポワロ、フェル博士、クイーン、ブラウン神父、ネロ・ウルフ、サム・スペード、メグレ……名探偵、揃い踏み! (帯より)

ミステリ・マニアたちがそれぞれお気に入りの作家・名探偵に関する知識をフル活用して事件を解決する(もしくは犯罪を企てる)、「…を読んだ~」シリーズ全11篇を含む短篇集。
うーん、楽しいことは楽しいんだけど、一作一作は小粒というか、ちょっと物足りなく思えました。でも、表題作の「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」だけは、文句なくケッサクだ(笑)

「ジョルジュ・シムノンを読んだ男」のメグレ警視が懐かしかったです。高校の図書室に河出文庫版が並んでいて、何作か読みました。あれ、全部で50冊も出てたのか……。
スポンサーサイト

* Tag : 論創海外ミステリ  

2007.10.25 23:19 | Comments(0) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

2007. 10. 22

『恋する死体―警視庁幽霊係』 天野頌子

Amazon.co.jp で詳細を見る天野頌子 / 祥伝社ノン・ノベル 2006-05
[ Amazon ]

私立探偵・新堂武彦が心疾患で急死した。警視庁特殊捜査室の柏木雅彦警部補は、元同僚の死を訝しむ先輩刑事と彼が亡くなった病院へ向かう。被害者の霊と会話が出来る柏木は、新堂が死ぬ直前、担当医の医療詐欺を探っていたことを聞き出す。口封じのための殺し? 新堂の秘めた想いまで知ってしまった胃弱な柏木クンが捜査にかけ回る! 見守るのはかわいい女子高生の幽霊。やがて院内の巨大犯罪が浮上して……。捜査室の個性あふれる面々も加わって面白さますますパワーUP、待望の第2弾。 (裏表紙より)

『警視庁幽霊係』→感想) の続編で、今度は長編。
柏木の女子高生守護幽霊・結花や守銭奴霊能力者・三谷の出番は今回少ないけれど、その代わり、柏木の同僚たち――警視庁特殊捜査室の個性的なメンバーが活躍しています。
ミステリー部分も、前作に比べるとかなり良くなっているんじゃないでしょうか(いわゆる「本格推理」ではないんだけど)。
総じておもしろかったんですが、結末あたりの新堂と小夜子の恋話の部分はちょっとなー。子供の親権などが絡んでくる以上、「いい話」として綺麗にまとめられる話じゃないと思うから。


▼ 文庫化 (2009年8月刊行)

恋する死体 警視庁幽霊係2 (祥伝社文庫)

* Tag : 天野頌子  

2007.10.22 22:13 | Comments(0) | Trackback(0) | 国内作品

2007. 10. 18

『緑は危険』 クリスチアナ・ブランド

Green for Danger (1943)
クリスチアナ・ブランド / 中村保男 訳 / ハヤカワ・ミステリ文庫 [ Amazon ]

第二次大戦下のヘロンズ・パーク陸軍病院。空襲で怪我を負って運び込まれた老郵便配達夫ヒギンズが、手術のために麻酔をかけられると、急に苦しみ出して息絶えてしまった。医療事故かそれとも殺人か。その調査のためにコックリル警部が派遣されるが、「あれは殺人だ。犯人が誰かも知っている」と言っていた看護婦ベーツが、手術室でメスを突き刺されて殺されているのが見つかり……。

大戦下の軍用病院で、あちこちから集まってきた医師・看護婦(正式な看護婦の他に、志願してきた特志補助看護婦がいる)たちの錯綜する人間関係のもとで起こる連続殺人事件。
最初はちょっと取っつきにくく、なかなか読み進まなかったのですが、終盤の追い上げがすごかった! 大どんでん返し、そして犯人像とその動機・犯行過程の深いドラマ性。伏線の張り方もとても巧みで、「あれがそうだったのか」と唸らされました。トリック自体はシンプルなのですが、実に見事な作品でした。
ああ、やっぱり、クリスチアナ・ブランドは翻訳されているものは全部読まねば~。

2007.10.18 00:16 | Comments(4) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

2007. 10. 15

『箱ちがい』 スティーヴンスン&オズボーン

Amazon.co.jp で詳細を見るThe Wrong Box (1889)
ロバート・ルイス・スティーヴンスン&ロイド・オズボーン / 千葉康樹 訳 / 国書刊行会 ミステリーの本棚
[ Amazon ]

最後に残った一人が莫大な金額を受け取る仕組みのトンチン年金組合の生き残りは、ついにマスターマンとジョゼフの兄弟二人きりとなった。折りもおり、ボーンマスへ転地に出かけたジョゼフは、帰途、鉄道事故に遭遇してしまう。事故現場で老人の死体を発見した甥たちは、年金目当てに一計を案じ、死体を大樽に隠してロンドンに送り込み、伯父がまだ生きているように見せかけようとするが……。偶然のいたずらによって姿を消した死体が行く先々で引き起こす珍騒動と、死体探しに奔走する男たちの右往左往を、絶妙のユーモアをまじえてえがく、『宝島』の文豪が遺したブラック・ファースの傑作。 (カバー折返しより)

先月読んだ 『新アラビア夜話』→感想) がおもしろかったので、同じスティーヴンスンの手になる本作も読んでみたんですが、『新アラビア夜話』 で垣間見られたやや皮肉っぽいユーモアが本作では全面的に発揮されていて、とても楽しい作品でした。本文冒頭で揶揄されているような「にこにこしながら作品の表面だけを読み飛ばしていく愛書家諸氏」で申し訳ないですが(笑)。(スティーヴンスンの作品とは言っても、彼の妻の連れ子であるロイド・オズボーンが書き上げた物語に、スティーヴンスンが文章・内容ともに大幅に手を加えた、という形らしいそうです)
ジョゼフの甥たち(ケチな兄モリスと怠惰な弟ジョン)やマスターマンの息子で悪徳弁護士のマイケルなど、しょーもない男たち(+女性ひとり)が繰り広げる、ヴィクトリア朝ユーモア小説……というか、ドタバタ・クライム・コメディ? いたずらやら何やらで死体がたらい回しにされるわけですが(実に気の毒なほとけさん…)、それを受け取るはめになった人々それぞれの反応が笑えます。一見バラバラな登場人物たちに、意外なつながりがあったりするところもおもしろいしね。(あー、でも、ひとこと言いたい、「他人宛ての荷物、勝手に開けるなよ……」)
訳も読みやすく、イギリスのユーモア小説が好き、という方にはオススメしておきます。

※ ちなみに、「トンチン年金」というのは実在するんですね~。(Yahoo!辞書 - トンチン年金

2007.10.15 22:48 | Comments(2) | Trackback(1) | 海外文学-19世紀

2007. 10. 10

サラ・ウォーターズのドラマ

サラ・ウォーターズの 『荊の城』 をBBCがドラマ化したものが、11月にWOWOWで放送されるそうですが。
http://www.wowow.co.jp/drama/ibarano/
(わたしん家はWOWOW加入してないから観られないや)

本国イギリスでは、『半身 Affinity』 と 『夜愁 The Night Watch』 もドラマ化されるようです。
http://www.virago.co.uk/news.asp
(↑ ウォーターズの本を刊行している出版社のニュースページ)
ざっと読んだだけなので間違ってるかもしれませんが、『半身』 はITVで来年4月、『夜愁』 はBBCで3月に放送される予定みたい。(『半身』 のほうはウォーターズのカメオ出演もあるかも?って書いてある)
一作目の "Tipping the Velvet" もBBCでドラマ化されてるし、出した作品全てドラマ化というのはすごくないか? あちらでも百合人気なんでしょうか……。

***********************************************

ついでに、昨日読んだ本。ウォーターズとは対極にあるような本ですが(笑)

Amazon.co.jp で詳細を見る懐かしいラヴ・ストーリーズ
ロザムンド・ピルチャーほか / 中村妙子 訳 / 平凡社

「雪あらし」 ジーン・スタブズ
「マウント荘の不審な出来事」 ジュディー・ガーディナー
「愛だけでは…」 ステラ・ホワイトロー
「ララ」 ロザムンド・ピルチャー
「もう一度、キスをして」 ダフニ・デュ・モーリア
「ドクター・ベイリーの最後の戦い」 ミス・リード
「砂の城」 メアリ・ラヴィン

昔風のラヴ・ストーリー7編のアンソロジー(恋愛ものじゃないのも交じっています)。
普段だったら手に取らないような題名&表紙の本ですが、デュ・モーリアとジーン・スタヴズ(ヴィクトリアン・ミステリ 『わが愛しのローラ』 の作者ジーン・スタッブス)の短編が収録されていたので。
いちばん(というか唯一)印象的だったのは、暗い影を落とすデュ・モーリアの作品。
「マウント荘の不審な出来事」は……あんなアプローチの仕方は、ちょっと引く。いや、かなり引く(笑)

* Tag : ダフネ・デュ・モーリア  

2007.10.10 19:24 | Comments(0) | Trackback(0) | その他の話題・雑記

2007. 10. 08

『ホフマン短篇集』

Amazon.co.jp で詳細を見るSechs Novellen (1815-1822)
E.T.A.ホフマン / 池内紀 編訳 / 岩波文庫
[ Amazon ]

平穏な日常の秩序をふみはずして、我知らず夢想の世界へふみこんでゆく主人公たち。幻想作家ホフマンは、現実と非現実をめまぐるしく交錯させながら、人間精神の暗部を映しだす不気味な鏡を読者につきつける。名篇「砂男」はじめ六篇を収録。 (カバー折込より)

19世紀初頭のドイツ・ロマン派のホフマンの短篇集。
ホフマンは初めて読みましたが、なんとも言えず不思議な作品を書く作家なんですね。ホフマンって一体どんな人だったんだろう……と思わせられる、そんなような。
大半の話は、あちら側の世界を垣間見た青年が、その幻想に取り憑かれて破滅していく……といったストーリー。どの場合も愛する女性がいて、安定した幸せな生活を得ようとすればそうすることも出来たのに……というところが、なんとも痛々しい。平凡な幸せなんていらないというのなら別にいいのですが、それと引き換えに彼らが非凡な幸せを手に入れられたようにも見えないし……。とりあえず、巻き込まれた周囲の人々が気の毒だ。(こういう感想を持ったのは私が女だからかもしれませんが。男性が読むとどうなんだろう)

以下、印象的だった作品の短い感想。
「クレスペル顧問官」 風変わりな顧問官とヴァイオリンの話。これって、父親のエゴなのでは……。
「砂男」 あのコッペリアの元ネタだったんですね。ここでは、自動人形の娘の名前はオリンピアになっています。主人公の青年ナタナエルの極度のナルシストっぷりがすごい。
「隅の窓」 これは幻想から離れて、二人の男が市場へ集まってきた人々を部屋の窓から観察しているのを対話形式で書いたもの。訳者後書きにあるように「従兄=ホフマン」であるならば、上記の「ホフマンってどんな人だったんだろう」という疑問に答えてくれるような作品です。

2007.10.08 23:52 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学-19世紀

2007. 10. 06

パディントン

Amazon.co.jp で詳細を見るパディントン 街へ行く
Paddington goes to town (1968)
マイケル・ボンド / 田中琢治・松岡享子 訳 / 福音館文庫

パディントンは今回も大忙しです。結婚式の案内係にゴルフのキャディー、ドクターになったと思ったら給仕人?! ブラウンさん一家と出かけた夜の街では大道芸人の仲間と間違われ、ひと騒動。勘違いやら思わぬ誤解がまたもやピンチを招きます。読み出したら止まらないパディントン・ワールド、シリーズ第8巻。 (裏表紙より)

くまのパディントンのシリーズ、ハードカバーで出ている分は全部読んだのですが、いつの間にか文庫本だけの翻訳新刊が出ていました。文庫版オンリーのものは、他に 『パディントンのラストダンス』 が出ています。

ところで、このパディントン、映画化されるそうですね。
【「パディントン・ベア」を「ハリポタ」製作者が実写映画化! - Yahoo!ニュース】
パディントンは本物の熊を使うのだろうか……と思ったら、CGIか。

ついでに、マーマレードが好物のはずのパディントンがマーマイトのCMに出演したため、ファンから苦情が殺到した……というニュース。
【くまのパディントンの好物に変更なし、苦情殺到で作者弁明 - Yahoo!ニュース】
そのCM ↓
http://www.youtube.com/watch?v=tjSER4WWaOs
えー、これ、私はいいと思うんだけどなあ。でも、サンドイッチの中身がなんであれ、騒動を巻き起こすのは変わらないんだね……(笑)

2007.10.06 15:41 | Comments(0) | Trackback(0) | YA&児童書

2007. 10. 04

Marie Corelli

ネット上をフラフラしていて見つけた記事。

【CINEMA TOPICS ONLINE|イギリスが舞台の英語時代劇に挑戦!映画『エンジェル』フランソワ・オゾン監督来日記者会見】
http://www.cinematopics.com/cinema/c_report/index3.php?number=2965

私の注目部分を要約すると、「オゾン監督最新作『エンジェル』は、ヴィクトリア朝・エドワード朝を生きたイギリスの女性作家が主人公。エリザベス・テイラーの原作があって、その小説は、マリー・コレリという実在の女性作家がモデル」。
マリー・コレリ? どっかで聞いたことあるような……?
と、考え込むことしばし。
あっ、思い出した、『復讐 ヴェンデッタ』 の作者じゃん!
日本では、黒岩涙香と江戸川乱歩がそれぞれ 『白髪鬼』 として翻案した 『ヴェンデッタ』 の作者……としてしか知られていないような印象のあるマリー・コレリですが(私は三作とも未読。コレリのは以前から読みたいと思っていたんだけど)、本人の人生は映画のモデルになるほど劇的だったのか。ちょっとびっくり。
映画「エンジェル」の公式サイトはこちら↓
「エンジェル」公式サイト


映画原作のエリザベス・テイラー(有名女優とは別人)の1957年発表の小説 『エンジェル』 は、翻訳が11月に白水社から出るようです。
http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=09201
「鋭い批評眼とユーモアをこめて描かれる、20世紀英国小説の隠れた名作」だそうで、これはちょっと読んでみたいかも。
マリー・コレリ作品の翻訳は……まあ、出ないだろうな(笑)
(ちなみに 『ヴェンデッタ』 の翻訳は、東京創元社の「世界大ロマン全集11」という古い本に入っています)

※ 追記 [2007-11-06]
ランダムハウス講談社からも、文庫本で 『エンジェル』 の翻訳が出るようです。
12月1日刊行予定。 [ Amazon ]

2007.10.04 23:24 | Comments(0) | Trackback(0) | その他の話題・雑記

2007. 10. 03

『エノーラ・ホームズの事件簿 ~消えた公爵家の子息~』 ナンシー・スプリンガー

Amazon.co.jp で詳細を見るThe Case of the Missing Marquess: An Enola Holmes Mystery (2006)
ナンシー・スプリンガー / 杉田七重 訳 / 小学館ルルル文庫
[ Amazon ]

1888年。14歳の誕生日、エノーラはがく然としていた。母親が突然姿を消したのだ。ロンドンに住む兄マイクロフトとシャーロックに助けを求めるが、マイクロフトはエノーラを寄宿学校へ入れることに決めてしまう。反発したエノーラは、母親が残していった暗号を解き、それをもとにロンドンへ向けてこっそりと旅立つ。途中、バジルウェザー公爵の跡取り息子・テュークスベリー侯爵が誘拐されたという話を聞きつけ、自分がこの事件を解決してやろうと意気込んだエノーラはバジルウェザー邸を訪ねていくが……。

シャーロック・ホームズの年の離れた妹・エノーラが主人公のヴィクトリア朝冒険物語。
私は作者以外の書いた派生作品にはさほど興味がないので、ホームズのパスティーシュやパロディもあまり読まないのだけど、これはファンタジーのベテラン作家スプリンガーが書いたということで興味を持って読んでみたんですが……。

こんな始末におえない身内(奇矯な母親・はねっ返りの妹)がいたら、ホームズ兄弟が女嫌いになるのも無理はない……と納得できるお話(笑)。もっともマイクロフトはガチガチの石頭、シャーロックは少女マンガのキャラクターみたいで、ドイルが書いたのとは程遠い二人になっちゃってますが。
ミステリー部分は、いい意味でも悪い意味でも「ローティーン向け」っぽい。題名になっている侯爵(といってもまだ12歳の少年)誘拐事件は後半になってから出てきて(前半はエノーラ母の失踪と暗号解読関連)、成り行き上でたまたま解決したようなもので、エノーラの素晴らしい推理力で見事解決!って感じじゃありません。なのに、人捜しが自分の天職だと(事件が解決してもいないときから)確信し、結末部分では事務所まで開いてしまうエノーラは電波無茶だとしか思えない。他にも、飛躍的で突飛な考え方をすることの多いエノーラにはついていけないや……。あと、随所に挟まれるヴィクトリア朝社会に対する批判が、言いたいことはわからなくもないけれど表面的すぎるし、ちょっと鬱陶しい。(というわけで、シリーズが続くような終わり方をしているんだけど、続編 の翻訳が出ても読まないと思う)

ところで、裏表紙のあらすじ紹介に「気の詰る貴族教育から抜け出した彼女が…」(彼女=エノーラ)とあったので、「あれ、ホームズさん家って貴族じゃなかったよな……」と不安を抱きつつ読み始めたのですが、本文中ではホームズ家は「地主」ということになってました。(母親が「レディ・ユードリア・ヴァーネット・ホームズ」と呼ばれているので、亡くなった父親はナイトだったという設定なのかな?)

* Tag : 歴史/時代もの  

2007.10.03 19:23 | Comments(0) | Trackback(0) | YA&児童書

2007. 10. 01

『リチャード三世』 シェイクスピア

Amazon.co.jp で詳細を見るRichard Ⅲ
ウィリアム・シェイクスピア / 福田恒存 訳 / 新潮文庫
[ Amazon ]

身体に障害を負った野心家グロスター公リチャードは、兄のエドワード四世王が病に倒れると、王権を狙い、その明晰な知能と冷徹な論理で、次々に残忍な陰謀をくわだて、ついに王位につく――。魔性の君主リチャードを中心に、薔薇戦争へといたるヨーク家の内紛をたどり、口を開いた人間性のおそろしい深淵に、劇詩人シェイクスピアが、真っ向からいどんだ傑作史劇である。 (裏表紙より)

海外ミステリ好きにとって「リチャード三世」と言えば、ジョセフィン・テイの 『時の娘』。作中で疑問視される「リチャード三世=残虐非道」というイメージを確立したのが、シェイクスピアのこの作品(訳者解説によれば種本があったそうですが)。しかし、史実では結構いい王様だったらしいというのは別として、シェイクスピアの描いたリチャード三世はかなり魅力的な悪役で、物語としてはこのほうがおもしろい。血で血を洗う王位争いの中にあっては、奸計をめぐらして邪魔者を次々と排し、着々と王座へと近づいていくリチャードの野心家ぶりは、いっそ痛快なほど。(逆に、泣き言・恨み言を繰り返すヘンリー六世妃マーガレット、エドワード四世妃エリザベスはちょっと鬱陶しい。否応なしに巻き込まれたのならともかく、本作の彼女たちは自ら権力争いに身を投じたのだから)
エドワード四世の復位からリチャード三世の戦死までの15年間がぎゅっと凝縮されており、矢継ぎ早に展開されていく王位継承争いはスリリングで、とてもおもしろかったです。


これは一度、舞台も観てみたいな……と思ったら、野村萬斎さんが狂言の手法で描いた「国盗人」という舞台のテレビ放送が、NHKハイビジョンで10月20日にあるみたい。
http://www.nhk.or.jp/bs/hvstage/

2007.10.01 19:30 | Comments(2) | Trackback(0) | 海外文学

* Site Info

読んだ本の感想メモ、気になる本の情報など。翻訳小説が中心です。特に好きなのは、海外古典ミステリと19世紀イギリス文学。
[ 管理人 : Rie ]

* Search

* Recent Entries

* Categories

* Tag List

* Archives

* Other


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。