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Reading Diary

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2007. 04. 27

『トムは真夜中の庭で』 フィリパ・ピアス

Tom's Midnight Garden (1958)
フィリパ・ピアス / 高杉一郎 訳 / 岩波少年文庫
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知り合いの家にあずけられて、友だちもなく退屈しきっていたトムは、真夜中に古時計が13も時を打つのを聞き、昼間はなかったはずの庭園に誘いだされて、ヴィクトリア朝時代のふしぎな少女ハティーと友だちになります。歴史と幻想が織りなす傑作ファンタジー。 (裏表紙より)

主人公のトムよりも、同性であるハティーのほうに興味を持ちつつ読みました。なぜトムは時を越えてハティーに会いにいくことができたのか……というところに、深い余韻の残る作品。
あと、凍った川でスケートをして、下流の町まで滑っていくという場面が印象的でした。


【原書】
Tom's Midnight Garden
by Philippa Pearce
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2007.04.27 22:56 | Comments(4) | Trackback(1) | SF&ファンタジー

2007. 04. 24

今日に限って

今日、ひさーしぶりに自転車で買い物に出かけました(いつもは車使用)。
そしたら、帰りに雨に降られるわ、警察の検問(?)にひっかかるわ…。
後者は、最近そのあたりで自転車の盗難が相次いでいるので、自分の自転車かどうか防犯登録番号をチェックしている、というものでした。あそこの通り、「止まれ」標識無視の車の取り締まりは時々やってるけど、自転車の取り締まりやっているのは初めて見たぞ…。(住所や名前まで聞かれたので、盗難自転車チェックというのは口実で、何か他のこと調べてたんじゃないか…と思ったりもするけど)
今日に限って…。素直に車で行けばよかったよ。

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4月に入って、結構マメに更新しているはずなのに、感想書いていない本の数が一向に減らない…。

さらに最近、海外ミステリの感想が書きづらいです。トリックがどうだとかこうだとか、そういうことをうんぬんするのが億劫になってきて…。もっとも以前から、グダグダの役にも立たない感想もどきでしたが…。
そもそも私は、読んでいておもしろいかどうか、事件の真相は意外だったかどうか、と主観的な読み方をしているので、感想も主観的になってしまう。客観的に書くのが難しい。
というわけで、一週間ほど前に読み終わっていたフェラーズの感想を書いたんですが、グタグタ。

2007.04.24 23:48 | Comments(2) | Trackback(0) | 未分類

2007. 04. 23

『メアリ・バートン―マンチェスター物語』 エリザベス・ギャスケル

Mary Barton (1848)
エリザベス・ギャスケル / 直野裕子 訳 / 日本ギャスケル協会 監修 / 大阪教育図書 (ギャスケル全集2)
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※ これまでの関連記事
読書中の本 『メアリ・バートン』
『メアリ・バートン』 第6~13章
『メアリ・バートン』 第14~22章

おもしろかった~。去年からヴィクトリア朝文学の長編を読んでみてもあまりおもしろくなくて(もしくは自分の好みではなくて)がっかり…ということが続いていたのですが、ひさしぶりに満足。
特に、ジェムが殺人事件の犯人として逮捕され、メアリがジェムの無実を証明しようと奔走する後半部分、メアリとジェムがどうなるのかと夢中になって読んでしまった。物語前半でメアリは身分違いのハリー・カースンと交際して結婚を夢見るなど少々軽率なところがあり、それがジェムがハリー殺害の犯人として逮捕されることにもつながるわけですが、ジェムのアリバイを立証しようと全力で駆けずり回る姿は彼女の過去の欠点を補って余りあり、メアリにはぜひジェムと幸せになってほしいと思わずにはいられませんでした。ジェムも、他の人たちのとばっちり受けまくりなのは非常に気の毒だったけど、とっても懐の深い好青年だったし、あー、大団円で良かった~。

この作品、後半は殺人事件の話に重点が移ってしまいますが、メインに据えられているのは、工業都市マンチェスターの貧しい労働者たちの実情を描き出すこと。前半部分では、職工ジョン・バートンとメアリの父娘の周囲の人間模様とともに、労働者たちの悲惨な生活状況が描かれているし、殺人事件も労働者と工場経営者の間の労使問題から生じた出来事で、結末部分でギャスケルはふたたびその問題を取り上げ、自分なりの解決策を示しています。
しかし、労使間の対立などの社会問題に対するギャスケルの見解は、どうにも手ぬるく思えてしまう。ギャスケルは「工場主たちは、労働者たちとは単なる金銭上の契約のみならず愛と尊敬の絆によって結ばれるのが最も望ましい」と考え、雇い主たちに「労働者たちを信頼し理解するように努め、救いの手を差し伸べるべきだ」と強く訴え、その一方で労働者たちには、深い同情を寄せながらも「雇い主たちだって人間なのだし、何か事情があるかもしれないのだから、彼らを理解し思いやるようにしなければならない」と説きます。確かに、相手を理解し思いやる精神があれば世界中のほとんどの問題は解決するだろうけど、現実的に考えれば「理想論」にしか思えないし、目の前で家族が飢えや病気で死んでいく人々に対して「思いやりの精神」を説いてみても腹の足しにはならない。ギャスケルの訴えは非常に真摯なものだし、理想を説くのも悪くはないけれど、労働者たちの劣悪な生活環境のリアルな描写と噛み合ってないように感じます。(ギャスケルは、そもそもなぜこのような社会問題が起きるのか、という点までは踏み込んでいないわけで、このあたり、『オリバー・ツイスト』 などで貧困層を存在させるものとして当時の社会をはっきりと「悪」と糾弾したディケンズと比較してみると興味深いかも)

しかし、解説で指摘されているように「この作品に取り上げられた労使の対立、貧富の差の問題について、政治的社会的な面で食い足りないところがあるにしても」、メアリを始めとする登場人物たちの悲しんだり喜んだりする様が生き生きと描き出され、またギャスケル特有の温かな視線と穏やかなユーモアがそれを彩り、とても魅力的な物語であることには違いありません。

* Tag : エリザベス・ギャスケル  『メアリ・バートン』  

2007.04.23 18:52 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学-19世紀

2007. 04. 22

『メアリ・バートン』 第14~22章

メアリはジェムに会う機会もなく、また慎みもあって素直な気持ちを伝えることができないでいた。そんなこととは露知らず失意のままのジェムに、あるとき、町中でひとりの女性が声をかけてくる。行方知れずになっていたエスタだった。陸軍士官と駆け落ちしたあと転落人生を送って娼婦となっていたエスタは、メアリが不実そうな紳士のハリーと付き合っているのを見て、姪が自分の二の舞とならないように守ってやってほしいと頼みにきたのだった。ジェムはメアリがハリーを愛しているのだと思い込んで激しいショックを受けつつも、ハリーに会いに行き、真剣な気持ちならメアリと結婚してやってほしい、そうでなければ彼女には二度と近づくなと告げる。ハリーが侮蔑的な態度を取ったため、二人は取っ組み合いの喧嘩になり、近くにいた巡査が止めに入る。
労働者たちが低賃金に不満を持ってストライキを起こす。ジョンを含む代表者たちと工場主たちの間で話し合いが持たれるが、強硬派のハリー・カースンを始めとする工場主側は要求を撥ねつけ、労働者たちは激しい怒りを抱く。
数日後の夜、ハリーが何者かに銃で撃たれて死ぬ。その犯人として逮捕されたのは、ジェム・ウィルスンだった…。

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以上が第19章まで(前半部分)のあらすじ。
これ以上書くのはやめておきますが(それでも十分細かく書きすぎたかも)、この後、ジェムが無実だと知っているメアリが、彼を助けるために奔走するという展開になるようです。

いや~、メアリとジェムの見事なすれ違いっぷりにドキドキするわー(笑)。メアリはジェムに愛していることを伝える機会がないまま、ジェムはメアリが他の男を愛しているのだと思い込んでメアリの本当の気持ちを知らないまま。二人が一度も会うことができずにいるうちに、ジェムは逮捕・勾留されてしまうのです。ま、こうなったのもメアリに責任の大部分があるんだけどね~。メアリは、一度プロポーズを断られただけで諦めてしまうなんてジェムはせっかちだと考えるのですが、それまでずっとつれない態度をとっていたのはあなたですよ、メアリさん。普通は相手に脈がないと感じたら、真剣にプロポーズして断られるなんて辛いこと、ふたたび経験したいとは思わないよなー。

* Tag : エリザベス・ギャスケル  『メアリ・バートン』  

2007.04.22 23:50 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学-19世紀

2007. 04. 21

『メアリ・バートン』 第6~13章

工場経営者カースンの息子ハリーが、店で見かけたメアリの美しさに惚れ込んで熱心に言い寄ってくる。メアリもお金持ちで陽気でハンサムなハリーに惹かれ、二人はメアリの仕事の行き帰りに待ち合わせをしたりして会うようになる。ハリーが結婚を申し込んでくれるものと思い込んだメアリは、ミセス・カースンになって裕福で安楽な生活を送ることを夢想するのだった。
1839年、工場地帯の労働者たちは不況のあおりをうけ、貧困生活に苦しんでいた。窮乏状態を国会に訴えるためロンドンに代表者が送られることになり、そのひとりにジョンが選ばれる。しかし、国会はそれを退け、ジョンは失意のうちに帰郷する。上京のために仕事を失い復職もできず、希望を失ったジョンはアヘンを常用するようになり、身も心も荒んでいく。どんどん気難しくなっていく父親を心配するメアリ。
職工長に出世したジェムがメアリにプロポーズする。ジェムとの結婚を期待する周囲への反感やハリーと結婚することもできるのだという野心から、メアリはそれを拒む。しかし、絶望したジェムが去った直後、メアリは自分がハリーではなくジェムを愛していることを悟る。メアリはハリーにもう会わないと告げ、そのとき初めて彼に結婚する意志がなかったことを知る。しかし、自分が振られるなど信じられないハリーはメアリにしつこくつきまとう。

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おもしろいです。訳もなかなか読みやすいし。『クランフォード(女だけの町)』 に代表されるようなギャスケルのユーモア感覚って私好みだ。メアリにひと目会いたいとジョンへの訪問にかこつけてバートン家に(気合を入れておしゃれまでして)やってきたジェム、しかしメアリは自分の部屋に行ってしまい、ジョンの長話に延々と付き合わされるはめになるところだとか。
もう少しメアリがハリーとの結婚を夢見ている状態が続くのかと思っていましたが、メアリは案外早く、自分が愛しているのはジェムであることに気づきます。もっとも、それまでジェムに対しては妹のような情愛しか示していなかったので、いささか唐突にも思えるけれど。メアリにプロポーズを断られたジェムが 『北と南』 のミスター・ソーントンみたいに暴走してくれたらおもしろいのに(笑)とか思っちゃったんですが、きちんと働いて生活費を稼がなければならないジェムにそんな余裕(?)はないのでした。まあ、プロポーズを撥ねつけられてメアリの家を飛び出した後は、一人で思いっきり絶望に浸るために、野原の方にものすごいスピードで走り去っていきますが。
一方、悪い方向で暴走しちゃうのが自分に自信たっぷりのハリー。最悪な元カレ・ストーカーと化します。ギャスケルにもその行動を「これほど確実に彼女に嫌われる方法はなかっただろう」とまで書かれてしまっているのがおかしい。

工場地帯の労働者と経営者の間の問題を描いている点では、『北と南』 (こちらが書かれたのは7年後)とよく似ていますね。
『北と南』 では外から来た人間である主人公マーガレットに代弁させていたことが、『メアリ・バートン』 ではそのような立場の人間がいないので、著者の主張として地の文で書かれています。『北と南』 を読んだときに感じた「労働者に同情的ではあるけれど、どこか上から目線」というのを、この作品でも感じます。高飛車とかそういうのではなく、「当事者じゃないからそんな理想論を言っていられる」、そんな感じ。

* Tag : エリザベス・ギャスケル  『メアリ・バートン』  

2007.04.21 23:15 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学-19世紀

2007. 04. 19

読書中の本 『メアリ・バートン』

彩流社 『メアリ・バートン―マンチェスター物語』 大阪教育図書 『ギャスケル全集(2) メアリ・バートン―マンチェスター物語』

エリザベス・ギャスケルの最初の長編、『メアリ・バートン』 (1848年)を読み始めました。
この "Mary Barton"、なぜか1998年~2001年の間に三種類も翻訳が出ているんです。
彩流社 『メアリ・バートン―マンチェスター物語』
近代文芸社 『メアリー・バートン―マンチェスター物語』
大阪教育図書 『ギャスケル全集(2) メアリ・バートン―マンチェスター物語』
利用している図書館にあったのは、後者ふたつ。とりあえず両方借りてきておいて、ギャスケル全集のほうを読むことにしました。近代文芸社のは、複数の人の共訳になっているのがどうかな、と思って。ギャスケル全集も以前読んだ 『北と南』 の訳がひどかったのでちょっと心配だったのですが(翻訳者は別の人)、今のところ、読みにくいことはありません。


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今日読んだ第1章~第5章のあらすじ。

マンチェスターの貧しい職工ジョン・バートンは、失職後の貧困生活で病気の息子を亡くしたこともあって、工場経営者ら富裕層に敵意を抱き、労働組合に参加しているが、貧しい仲間たちに対しては自分の食費を削ってまでも食べ物を買って与えるような親切な男だった。ある日、妻メアリの派手好きな妹エスタが行方をくらまし、妊娠中だったメアリは心労がたたって、娘のメアリを遺して亡くなってしまう。
数年後、美しく成長した娘のメアリは婦人服の仕立屋でお針子見習いとして働き始める。自分の美貌に自信を持つメアリは、叔母エスタが失踪前に「ねえ、メアリ、いつかあんたを呼び寄せてレイディにしてあげるとしたら、どうする?」と言っていたのを忘れられず、貴婦人になることを夢見ていた。ジョンの友人ジョージ・ウィルソンの息子で、メアリの幼なじみの機械工の青年ジェム(ジェイムズ)は以前から彼女に想いを寄せ続けているが、メアリは相手にしようともしない。
あるとき、メアリはジョージの姉アリス・ウィルソンに上の部屋に住むお針子マーガレットを紹介され、ふたりはすぐに親しくなる。歌の才能を持つマーガレットは植物学好きの祖父ジョウブ・リーと二人で仲良く暮らしていた。

* Tag : エリザベス・ギャスケル  『メアリ・バートン』  

2007.04.19 23:10 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学-19世紀

2007. 04. 18

『嘘は刻む』 エリザベス・フェラーズ

Amazon.co.jp で詳細を見るThe Lying Voices (1954)
エリザベス・フェラーズ / 川口康子 訳 / 長崎出版
海外ミステリGem Collection 4
[ Amazon ]

田舎町アーチャーズフィールド。ジャスティン・エマリーが数年ぶりにそこで暮らす旧友グレースを訪ねていった日、近所に住む有名な家具デザイナーのアーノルド・サインが殺された。死体が見つかったアトリエは彼が趣味で集めていた数多くの時計であふれかえり、それらの時計はすべて狂っていた。その後、向いの家に住む老人の証言で、アーノルドが殺された午後、三人の男女がサイン家に出入りしていたことがわかるが…。

前半から中盤にかけては、アーノルドの周辺の人物たち(妻や助手や弟子、そしてグレース)の人間関係&恋愛関係に重点が置かれています。
その人間関係から生じる緊張感もあって、最初のうちはなかなかおもしろく読んでいたのですが、ジャスティンを事件に引き込んでおきながら本当のことを言おうとしなかったり嘘をついてばっかりだったり、いがみあっている人物もいたりして、だんだんイヤ~な気分に…。
事件の真相・犯人の意外性は十分だし、伏線の張り方もいつもながら巧い。その部分には満足感を覚える一方で、「あの不愉快な人間関係に我慢して付き合ってきたのはいったいなんだったの…?」という気持ちにもなりました…。
雰囲気としては、創元のトビー&ジョージシリーズよりも早川の 『私が見たと蠅は言う』 に近いかな。


ところでこの本、冒頭に「読者へのささやかな道案内」などと題された文章があるのですが(今回この翻訳が出る際に誰か日本人が書いたものっぽい)、それが押し付けがましいうえに「海外古典ミステリを初めて読む小中学生向け?」と思ってしまうような内容なのです。本作品の内容をなかばバラしながら(何章で何が起きるとか)、「海外古典ミステリはこう楽しまなければならない講義」みたいなものを延々と書き連ねていて、何度「大きなお世話だっ」と叫びたくなったことか。(しかも、意味のよくわからない部分も多い。「そして、フーダニットものといえばクラシック・ミステリと呼ばれるようになったのです」……ハウダニットや倒叙ものの立場は? それに、現代作家だってフーダニットもの書いてる人たくさんいるのに)
長崎出版は、フェラーズを手に取るような読者層のことをなんだと思っているんだろう…。
これから読む人は、この冒頭部分は飛ばしたほうがいいと思うよ。

2007.04.18 23:38 | Comments(2) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

2007. 04. 16

『アスパンの恋文』 ヘンリー・ジェイムズ

The Aspern Papers (1888)
ヘンリー・ジェイムズ / 行方昭夫 訳 / 岩波文庫
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アメリカの大詩人アスパンを研究している「わたし」は、恋人だったミス・ボルドローに送ったアスパンの恋文を入手するため、ヴェニスを訪れた。人目をさけてひっそり住んでいる彼女の邸の下宿人となり、その機会をうかがう「わたし」の前に……。精緻な心理描写でストーリーテラーとしてのジェイムズの才能が遺憾なく発揮された中篇の傑作。 (表紙より)

アスパンから送られた恋文を隠し持っているらしい老婦人ミス・ボルドロー、手紙をなんとか入手しようと身元を隠して下宿人として彼女の屋敷に入り込んだアスパン研究者の「わたし」、ミス・ボルドローと同居している姪の中年女性ミス・ティータ。ヴェネツィアの片隅のうらぶれた屋敷を舞台に、この三人の間のやりとりで話は進んでいきます。
大詩人アスパンとその作品を崇拝してやまない「わたし」は、下宿代を決める際に、アスパンの輝かしい詩にも謳われたことのあるミス・ボルドローが貪欲さ・抜け目なさを発揮するのに戸惑いを感じますが、そのあたりから「わたし」の思惑と現実の間にだんだんとズレが生じてくるところがおもしろいです。
しかし、この作品、ジェイムズが人から聞いた実際にあった話に基づいている(元の話ではバイロンとシェリーの遺文)、というのがびっくりだ。

主人公の「わたし」がミス・ボルドローの手紙の入手に執着するのは、アスパンの生涯をすべて明らかにしようという使命感に燃えていたからでした。作家の人生や人物像について知ることは、作品理解の助けとなるけれど、その作家について研究している人は別として、一般の読者にとってはそれも善し悪しだよなーと思ってしまいます。作家のイメージ(先入観)に囚われて作品の本質をつかみ損ねてしまう、ということも少なくないので。

2007.04.16 22:08 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学-19世紀

2007. 04. 14

『ホロー荘の殺人』 アガサ・クリスティー

The Hollow (1946)
アガサ・クリスティー / 中村能三 訳 / 早川書房
[ Amazon ]

アンカテル卿の午餐に招かれたポアロは、少なからず不快になった。邸のプールの端で一人の男が血を流し、傍らにピストルを手にした女が虚ろな表情で立っていたのだ。が、それは風変わりな歓迎の芝居でもゲームでもなく、本物の殺人事件だった! 恋愛心理の奥底に踏み込みながら、ポアロは創造的な犯人に挑む。 (裏表紙より)

どっかでお勧めされているのが目につき(アマゾンのリストマニアだったかな?)、ふと読みたくなって。前に一度読んでいるのに、犯人もその他のこともすっかり忘れてたわ(笑)
フーダニットではあるけれど、事件が起きるまで&事件によって変化する登場人物たちの人間関係・恋愛関係に重点が置かれ、細やかな心理描写に長けた作品。クリスティはこの作品に「ポワロを登場させたのは失敗だった」と考えていたようですが、確かに謎解き抜きでも心理劇としてよく出来ているので、ポワロが出てこないほうが作品全体が際立った感じになったかも。
ただし、個人的にはムカムカさせられる人間関係だ。有能な医師だけど自分本位な夫、夫を崇拝している不器用な妻、そんな妻に誰よりも親身に接する夫の恋人…。不倫、と言っちゃうと身も蓋もないかもしれないけど、そういう話は嫌いだから。

読み終わったあとで、一昨年くらいに録画したまま忘れていたドラマ版の「名探偵ポワロ ホロー荘の殺人」を観てみました。うーん、いろいろと大切なところを省略しちゃってるのね…。その割に東屋のシーンが生々しすぎる。声だけでいいのに(苦笑)。
5/3にBS2で「満潮に乗って」の放送があるのは、忘れないようにしなきゃ。

* Tag : アガサ・クリスティ  

2007.04.14 23:42 | Comments(0) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

2007. 04. 13

レ・ファニュ原作のTV映画

あっ、GyaOで「アリス」やってるー。

http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0031390/

J・S・レ・ファニュ原作、ナオミ・ワッツ主演の、BBC制作のTVムービーです。19世紀のイギリス、田舎のお屋敷が舞台のホラーサスペンス。
で、原作の 『The Wyvern Mystery』 ですが、レ・ファニュが自分の中篇 『A Chapter of the History of a Tyrone Family (タイローン州のある名家の物語)』 を晩年になって長編に書き直したもので、その 『タイローン州のある名家の物語』 はシャーロット・ブロンテの 『ジェイン・エア』 に大きな影響を与えたと言われている作品なのです。
(詳しいことは下記のエントリーで書いています ↓)
"The Wyvern Mystery" (2005/05/07)
『ゴールデン・フライヤーズ奇談』 (2006/05/15) の後段

未だ観られずにいたので嬉しい。週末にでもゆっくり観ようっと。

* Tag : レ・ファニュ  

2007.04.13 00:28 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学-19世紀

2007. 04. 12

『闇の戦い(2) みどりの妖婆』 スーザン・クーパー

Amazon.co.jp で詳細を見るGreenwitch (1974)
スーザン・クーパー / 浅羽莢子 訳 / 評論社
[ Amazon ]

大英博物館から盗まれた「トリウィシックの聖杯」。ウィルとドルー家の三人の子どもたちは、聖杯を求めて訪れたコーンウォールで、奇妙な祭りに出会う。祭りの夜、サンザシの枝で作られるみどりの妖婆。深い海底に妖婆が隠しもつ宝とは? 祭りの宵、荒魔術が解き放たれる…。 (出版社サイトより)

『コーンウォールの聖杯』 (→感想) のドルー家のきょうだい、サイモン・ジェーン・バーニーが再登場。
“闇”によって盗み出された聖杯を追い、メリマンとともにふたたびトリウィシックを訪れた三人。そこへ、メリマンに連れられてウィルもやってくる。メリー大伯父さんと聖杯探しの秘密を共有しているという意識の強いサイモンとバーニーは、ウィルの正体を知らないので彼を邪魔者として疎ましく思っちゃったりするわけです。
そんな兄弟ふたりに対して今回はジェーンが、みどりの妖婆とのエピソードなど、なかなか魅力的に書かれていますね。それに、ジェーンの目を通して見たウィルがなんだかかっこいい。普段の人のよさそうな少年と“古老”のギャップというか…。
昔の密輸船のくだりは、さすがコーンウォールが舞台といったところ?(デュ・モーリアの 『埋もれた青春(ジャマイカ・イン)』 で「密輸船・難破船荒らし=コーンウォール」という刷込みが…)

あ~、登場人物たちにちょっとずつ愛着みたいなものが沸いてきて、だんだんおもしろくなってきたぞー。でも続き読むのは一時中断。

* Tag : 「闇の戦い」シリーズ  

2007.04.12 23:25 | Comments(1) | Trackback(1) | SF&ファンタジー

2007. 04. 08

『闇の戦い(1) 光の六つのしるし』 スーザン・クーパー

Amazon.co.jp で詳細を見るThe Dark is Rising (1973)
スーザン・クーパー / 浅羽莢子 訳 / 評論社
[ Amazon ]

「今夜はいやな夜になる。明日に到っては、想像を絶する一日になるだろう」――十一歳の誕生日に“古老”としてめざめたウィル。いにしえより続く“光”と“闇”の戦いが、最後の“古老”を待っていた…。ウィルの使命は、六つの“光のしるし”を探し出し、それを護ること。壮大な「闇の戦い」シリーズ、注目の第1巻。

けっこう唐突な話に思えるなあ。“光”と“闇”の戦いが何千年も前から続いてきたという前提があって、あまり細かい設定は語られず、読者は主人公のウィル・スタントン(七番目の息子のそのまた七番目の息子)同様、そのなかに突然ポンっと投げ込まれる感じです。先に 『コーンウォールの聖杯』 から読んでいなかったら、ちょっと取っ付きにくかったかも。
冬至前夜から翌年の十二夜にかけての田舎の村が舞台で、クリスマスのプレゼントに大喜びしたり教会の礼拝に少年聖歌隊として参加したりと、ウィルはいつもは普通の少年の生活を送っているのですが、その日常生活のなかに突然“闇”の者たちが侵入してくるというところが怖い。
ただ、今の時点では“光”や“闇”についていまいちよく把握できていないので、“光の古老”であるウィルやメリマンよりも、“光”と“闇”の両方に利用される人間のホーキンに同情してしまいます。

この作品、アーサー王伝説の他にもイギリスの伝説やら民話やらがあちこちにちりばめられていて、予習のつもりでアーサー王入門書一冊読んだだけでは、とてもじゃないけど追っつかなかった…。「狩人ハーンって、樫の木って何???」状態で、あとでネットで調べましたよ。他にもいろいろと読み落としているんだろうなあ。船に葬られた暗黒時代のイングランドの王というのも、たぶん元ネタがあるんだろうな…。


※ 「闇の戦いシリーズ」感想一覧
『コーンウォールの聖杯』
『闇の戦い(1) 光の六つのしるし』
『闇の戦い(2) みどりの妖婆』
『闇の戦い(3) 灰色の王』
『闇の戦い(4) 樹上の銀』

* Tag : 「闇の戦い」シリーズ  

2007.04.08 22:35 | Comments(0) | Trackback(1) | SF&ファンタジー

2007. 04. 05

映画 『見知らぬ乗客』

Amazon.co.jp で詳細を見る(1951年 / アメリカ)

アルフレッド・ヒッチコック監督作品の「見知らぬ乗客」をYahoo!動画でやっていたので、観てみました。
Yahoo!動画 - 映画 - 世界名作ライブラリー - 見知らぬ乗客
パトリシア・ハイスミスの同名小説が原作。
レイモンド・チャンドラーが脚色に参加しています。
さらに、クライマックスの暴走するメリーゴーランドのシーンは、エドマンド・クリスピンの 『消えた玩具屋』 が元ネタだと言われているそうです。なるほど、あの場面を映像化するとああなるのか~。


他に、Yahoo!動画で観られるヒッチコック作品のなかで、海外クラシック・ミステリにつながりがあるものを並べておきますね。

断崖
フランシス・アイルズ(アントニイ・バークリーの別名義)の 『レディに捧げる殺人物語(犯行以前)』 が原作。結末を変えてしまったせいで原作の良さが失われてしまっているけど。(しかしこれ、カラー版なんですね。私が観たDVDはモノクロだったのに。この映画はモノクロじゃないと、光るミルクのグラスの場面が…)

レベッカ
ダフネ・デュ・モーリア原作。主人公役のジョーン・フォンテインが美しい~、マキシム役のローレンス・オリビエかっこええ~、ダンヴァース夫人はコワイ…。

第3逃亡者
原作はジョセフィン・テイ 『ロウソクのために一シリングを』

バルカン超特急
原作はエセル・リナ・ホワイト(これ)。原作よりもコミカルでドタバタ度が高くなっています。

白い恐怖
原作はフランシス・ビーディング(これ)。もっとも原作とはまったく別物のサイコ・サスペンス。イングリット・バーグマンとグレゴリー・ペックの美男美女カップルは目の保養~♪

2007.04.05 23:42 | Comments(0) | Trackback(0) | 映画&ミュージカル

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読んだ本の感想メモ、気になる本の情報など。翻訳小説が中心です。特に好きなのは、海外古典ミステリと19世紀イギリス文学。
[ 管理人 : Rie ]

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