* Caramel Tea *

Reading Diary

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2006. 10. 28

『絞首人の一ダース』 デイヴィッド・アリグザンダー

Amazon.co.jp で詳細を見るHangman's Dozen (1961)
デイヴィッド・アリグザンダー / 定木大介 訳 / 論創社
論創海外ミステリ55
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EQMMコンテストで第二席を獲得した、著者の短編代表作「タルタヴァルに行った男」、自殺した妹の復讐を誓う青年を描き、読後に深い感慨を誘う「優しい修道士」、最後の一行で見事に謎が解ける「悪の顔」など、名手アリグザンダーの短編を十三編収録。人間の本質を突く視線、多彩なアイデア、見事な構成、余韻の残る結末。スタンリー・エリンが絶賛した珠玉の短編群をここに刊行。エリンによる序文つき。

これはよかったなー、粒揃いの名短篇集。バラエティに富んだ内容・ユニークな設定の数々・ラスト一文で明らかになる意外な結末・しんみりとさせる人物描写で、早川の異色作家短篇集や(今はなくなってしまったけど)晶文社ミステリに入っていてもおかしくない感じ。
特に印象的だったのは、なんともやるせない「優しい修道士」、思いもかけぬ展開にびっくりの「空気にひそむ何か」、歴史的犯罪者たちが登場する設定がおもしろい「向こうのやつら」(切り裂きジャックネタがウケました)。
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* Tag : 論創海外ミステリ  

2006.10.28 23:38 | Comments(0) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

2006. 10. 26

『ある詩人への挽歌』 マイクル・イネス

Amazon.co.jp で詳細を見るLament for a Maker (1938)
マイクル・イネス / 桐藤ゆき子 訳 / 社会思想社
現代教養文庫 ミステリ・ボックス
[ Amazon ]

ラナルド・ガスリーはものすごく変わっていたが、どれほど変わっていたかは、キンケイグ村の住人にもよく分かっていなかった……狂気に近いさもしさの持ち主、エルカニー城主ガスリーが胸壁から墜死した事件の顛末を荒涼とした冬のスコットランドを背景に描くマイクル・イネスの名作。江戸川乱歩は「非常に読みごたえのある重厚な作品」として1935年以後の世界ミステリのベスト5に挙げた。 (裏表紙より)

ここの「全体を圧倒するゴシック・ロマンの雰囲気」という作品紹介を見て興味を持って読んでみたのですが(ダウンロードしたんじゃなくて本で)、とってもおもしろかった~。本格推理小説として優れているだけでなく、物語を読む愉しみをしっかりと堪能できる素晴らしい作品でした。
本作は全7部から成り、それぞれ語り手(村の教養ある老人、弁護士、アプルビイ警部など)が交代していくという構成で、ウィルキー・コリンズの諸作品を思わせます(第二部の、豪雪によって城に閉じ込められ、事件に遭遇することになった青年がその一部始終をロンドンの恋人へ宛てて書いた手紙は 『吸血鬼ドラキュラ』 っぽい)。また、人里離れた古い城館・狂気じみたふるまいをする老城主・城に同居している被後見人の美しい少女クリスティン…という設定だけでなく、事件の真相やクリスティンの恋愛話も、どことなく19世紀小説風。
私にとってはクリスティンの恋物語の結末がいちばん印象深かったのだけど、他にも、語り手によって事件の真相とされるものが二転三転していく様子も、雪深いスコットランドの片田舎の情景も、タイトルの元となったウィリアム・ダンバーの詩 『詩人たちへの挽歌』 が効果的に繰り返し引用されているのも、不気味な雰囲気を盛り上げるガスリーの常軌を逸した行動の数々があとで事件の真相の伏線として活きてくるところも、すべていい。まさしく「ゴシック・ロマンと本格探偵小説の見事な融合」という感じで、大満足でした~。

2006.10.26 22:42 | Comments(6) | Trackback(1) | ミステリ&サスペンス

2006. 10. 24

『風にのってきたメアリー・ポピンズ』 P・L・トラヴァース

Mary Poppins (1934)
P・L・トラヴァース / 林容吉 訳 / 岩波少年文庫
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バンクス家の四人の子供たちのところへやってきた風変わりなナニー、メアリー・ポピンズ。
ジュリー・アンドリュース主演の映画 「メリーポピンズ」 は子供の頃に観たけど、原作は読んだことありませんでした。
楽しいねー、このお話。ツンとしていて、ちょっとうぬぼれや(買い物のときはいつもショーウィンドウに自分の姿を映して見とれている)のメアリー・ポピンズがとても魅力的。
なかでもいちばん気に入ったのは、メアリー・ポピンズが休日に友人バートとお茶を飲みに行くお話。

メアリー・ポピンズは、見さげはてたというように、フンと鼻をならしました。
「知らないんですか?」と、あわれむようにいいました。「だれだって、じぶんだけのおとぎの国があるんですよ!」

2006.10.24 23:52 | Comments(0) | Trackback(0) | YA&児童書

2006. 10. 23

『永遠の沈黙』 マイクル・ベイデン&リンダ・ケニー

Amazon.co.jp で詳細を見るRemains Silent (2005)
マイクル・ベイデン&リンダ・ケニー / 藤田佳澄 訳 / ハヤカワ・ミステリ文庫
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ショッピングセンター建設予定地で見つかった無数の白骨死体。殺人か? 事故か? ブランドものに身を包んだ美人弁護士マニーと見た目は冴えないが超一流の検屍官ジェイクは、共に調査に乗りだした。最初はぎこちないコンビだったものの、お互いをよく知るうちに息も合いはじめる。だが、事件の鍵となる意外な事実を突きとめた時、何者かが彼らを襲った! サスペンス&ロマンスが絶妙に絡みあう全米ベストセラーの話題作。

アメリカではとても有名らしい検屍官&弁護士夫妻の共作。
読みやすいことは読みやすいんだけど、扱っている事件が重く暗いものであるわりにはあっさりしすぎな気が…。事件そのものよりも、主人公のふたりのサスペンス(何度も襲われたり脅されたり)とロマンス(でも、このジェイクとマニー、どうしてお互いに相手を好きになったのかよくわからん…)に重点が置かれているせいかも。
それにしても、ヒロインのマニーがアホ女すぎやしませんか? エセ人権派弁護士気取っているだけでも痛いのに、ブランド狂い&愛犬に対する度を越した飼い主バカっぷりで、読んでて頭痛くなってきた…。

2006.10.23 23:40 | Comments(0) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

2006. 10. 19

『屍衣の流行』 マージェリー・アリンガム

Amazon.co.jp で詳細を見るThe Fashion in Shrouds (1938)
マージェリー・アリンガム / 小林晋 訳 / 国書刊行会
世界探偵小説全集40
[ Amazon ]

人気女優ジョージアをめぐる男たちの不可解な死。3年前に謎の失踪を遂げた元婚約者の白骨死体が発見された数週間後、現在の夫レイモンドのアフリカ飛行歓送式典の最中に事件は起こった。巧妙きわまる計画殺人に挑む名探偵アルバート・キャンピオン。女王クリスティーがその才能を羨んだという巨匠アリンガムの傑作。 (出版社の内容紹介より)

出版社の内容紹介や本書の解説では「代表傑作」「アリンガムの最高傑作」とされており、その通り、これまで読んだアリンガム作品のなかではいちばん読み応えがあっておもしろかった~。
これといったトリックやロジックがない点は他作品と同じなんですが、丹念な人物描写の積み重ねによって犯人の正体や犯行方法が浮き上がってくるという流れがとてもスムーズで納得のいくものなので、他作品のように物足りなさを感じることもありませんでした。(ただ、その反面、その人物描写がちょっと丁寧すぎ・細かすぎる気がしないでもなく…。解説の「アリンガム問答」によると、アリンガム本人も「書き込みすぎだ」と思ったらしく、晩年、二割ほど削った改訂版を出したんだとか)
また、いつもは「あっちへ行ったりこっちへ行ったりしてるだけ」という地味で目立たない印象のアルバート・キャンピオンも、ジョージアの元婚約者の捜索を依頼された立場にあり、さらに彼の妹でジョージアのドレスを担当しているファッション・デザイナーのヴァルが事件をめぐる人間関係に巻き込まれたことから、本作では探偵役として大活躍し、堂々と主役を張っています。"Sweet Danger (『水車場の秘密』)"で知り合い、のちに結婚することになるアマンダ・フィットンとのおしどり探偵ぶりや婚約に至るまでの過程も読めるし。(もう一組のカップルのプロポーズシーンも出てくるのだけど、そちらはキャンピオン&アマンダとは違って、なんだか納得しがたいものだったな…。あんた、そんなに偉そうにできる立場じゃないだろ>男のほう)

私はいつもアリンガム作品のことを「地味だ」「地味だ」と言っているけど、「渋い」と言ったほうがふさわしいかもね、と本書を読んで思い直したり。
で、そのアリンガム作品、この後も、論創社から 『葬儀屋の次の仕事』 が(でもいつ出るんだか)、新樹社からは "Dancers in Mourning" が(でもどうなってるんだか※)、刊行予定になってますね。
世界探偵小説全集のほうは、第4期もあとはナイオ・マーシュを残すのみですね。楽しみだなー、『道化の死』。

※ 邦訳 『クロエへの挽歌』 2007年8月発売

* Tag : 世界探偵小説全集  

2006.10.19 23:24 | Comments(0) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

2006. 10. 17

『イラクサ』 アリス・マンロー

Amazon.co.jp で詳細を見るHateship, Friendship, Courtship, Loveship, Marriage (2001)
アリス・マンロー / 小竹由美子 訳 / 新潮クレスト・ブックス
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旅仕事の父に伴われてやってきた少年と、ある町の少女との特別な絆。30年後に再会した二人が背負う、人生の苦さと思い出の甘やかさ(「イラクサ」)。孤独な未婚の家政婦が少女たちの偽のラブレターにひっかかるが、それが思わぬ顛末となる「恋占い」。そのほか、足かせとなる出自と縁を切ろうともがく少女、たった一度の息をのむような不倫の体験を宝のように抱えて生きる女性など、さまざまな人生を、長い年月を見通す卓抜したまなざしで捉えた九つの物語。長篇小説のようなずっしりした読後感を残す大人のための短篇集。

アリス・マンローは寡聞にしてこれまで知らなかったけれど、「その新作発表は文学上のイヴェントだ」とまで言われるほど非常に高い評価を受けている、カナダの「短篇の女王」なのだとか。最初に訳者あとがきに書かれている「作者の生い立ち」を読んでしまったため、大半の短篇がマンローの半自伝的作品に思えてしまった…。
どこにでもいそうな夫婦の姿が描かれている小説というのは本来は苦手なんだけど、細やかな描写もあいまって、苦みの利いたしみじみと静かな味わいを感じさせてくれる作品ばかりだった。

* Tag : 新潮クレスト・ブックス  

2006.10.17 23:09 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学

2006. 10. 13

『大聖堂』 ケン・フォレット

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The Pillars of the Earth (1989)
ケン・フォレット / 矢野浩三郎 訳 / ソフトバンク・クリエイティブ (SB文庫)
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いつかこの手で大聖堂を建てたい―果てしない夢を抱き、放浪を続ける建築職人のトム。やがて彼は、キングズブリッジ修道院分院長のフィリップと出会う。かつて隆盛を誇ったその大聖堂は、大掛かりな修復を必要としていた。折りしも、国王が逝去し、内乱の危機が! 十二世紀のイングランドを舞台に、幾多の人々が華麗に織りなす波瀾万丈、壮大な物語。

キングズブリッジ大聖堂建設をめぐる40年に渡る物語。
12世紀のスティーヴン王と女帝モードの内乱の時期を背景としているのだけれど、大聖堂再建の計画もその歴史の波に翻弄されることになります。再建を続けるために修道院長フィリップが繰り広げる数々の駆け引きと司教ウォールランとの対立、大聖堂が出来ていくにつれてちっぽけな村だったキングズブリッジに人が集まり大きな町へと発展していく様子、そしてそれに付随する中世の人々の暮らしぶりがおもしろかった。
その一方で、登場人物たちはあまり好きになれなかったな…。最初の若い頃のフィリップは結構好きだったんだけど、年をとるにつれて、だんだん頭が固くなってっちゃったし…。

ところで、巻末の養老孟司の解説は最悪。こんなおもしろい小説のあとに、こんなひどい解説を読まされるなんて(というより、そもそも解説になってないじゃん)。

* Tag : 歴史/時代もの  

2006.10.13 22:43 | Comments(4) | Trackback(1) | 海外文学

2006. 10. 10

読書中の本 『大聖堂』

読書の秋だし、何か大長編を読もうと思って選んだのが、一年ほど前に復刊されて気になっていたケン・フォレット 『大聖堂』。12世紀のイングランドが舞台の、大聖堂再建をめぐる物語。約600ページ×3巻というボリュームですが、建築関係以外の部分は読みやすいし、おもしろい。
今、上巻を読み終わったところ。主として、建築職人トムとその一家、キングズブリッジ修道院分院長のフィリップ、その二つの視点からの話が交互に描かれているのですが、私には後者の修道院での駆け引きやらあれこれの話のほうが楽しい。トム一行には、妻アグネスが亡くなってすぐに…というところでまず萎え、大聖堂の火事のところでさらに萎えたので…。
この後、フィリップと司教の敵対がどうなるのか楽しみ。頭の切れる青年神父ふたりの対立って、ワクワクしちゃうよ(笑)


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『大聖堂 (上)』 『大聖堂 (中)』  『大聖堂 (下)』
ケン・フォレット / 矢野浩三郎 訳 / SB文庫

いつかこの手で大聖堂を建てたい―果てしない夢を抱き、放浪を続ける建築職人のトム。やがて彼は、キングズブリッジ修道院分院長のフィリップと出会う。かつて隆盛を誇ったその大聖堂は、大掛かりな修復を必要としていた。折りしも、国王が逝去し、内乱の危機が! 十二世紀のイングランドを舞台に、幾多の人々が華麗に織りなす波瀾万丈、壮大な物語。

2006.10.10 23:58 | Comments(2) | Trackback(0) | 海外文学

2006. 10. 08

ミュージカル "Rebecca (レベッカ)"

私がダフネ・デュ・モーリアの 『レベッカ』 が大好きだということは、しつこいくらい何度も書いていますが、その 『レベッカ』 がウィーンでミュージカル化されたんだとか。英米以外のミュージカルはよく知らないんですが、「エリザベート」や「モーツァルト!」などで有名なミヒャエル・クンツェとシルヴェスター・リーヴァイのコンビの新作だそうで。

公式サイトはこちら ↓
REBECCA - Das Musical (ドイツ語版)
REBECCA - Das Musical (英語版)

日本語の記事だとこちら ↓
「レベッカ」:世界初演の最新ミュージカル、ウーヴェ・クレーガー主演

公式サイトで聴ける歌、いいですね。観てみたいなあ。ドイツ語はまったくわからないけど、ストーリーはしっかり覚えているのでなんとかなりそう。
2008年と2010年には東京公演もあるそうですが、日本人キャストの公演なのかな?

『レベッカ』 はヒッチコック監督の映画も有名ですが(こっちも大好き)、最近は「Yahoo!動画」で無料で観ることができるんですね。
Yahoo!動画 - 映画 - 世界名作ライブラリー - レベッカ
500円のDVDでも出てるし。どちらも画質はかなり悪いようだけど…。

* Tag :   ダフネ・デュ・モーリア  

2006.10.08 23:28 | Comments(0) | Trackback(0) | 映画&ミュージカル

2006. 10. 04

『毒杯の囀り(さえずり)』 ポール・ドハティー

Amazon.co.jp で詳細を見るThe Nightingale Gallery (1991)
ポール・ドハティー / 古賀弥生 訳 / 創元推理文庫
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1377年、ロンドン。下町の小さな教会区を受け持つ青年托鉢修道士アセルスタンは修道院長の命により、国王の検死官ジョン・クランストン卿の書記を務めていた。二人のもとに、富裕な貿易商トーマス・スプリンガル卿が邸の自室で毒殺されたという知らせが。トーマス卿の部屋の外は、人が通れば必ず“歌う”、通称「小夜鳴鳥の廊下」。この廊下を歩いたのはワインを運んだ執事ただひとりだというのだが、執事は屋根裏で首を吊っており、主人に毒入りワインを飲ませたあと自殺したのだと考えられた。しかし、アセルスタンはそれが自殺に見せかけた殺人ではないかと疑い…。

エドワード3世が亡くなり、まだ幼いリチャード2世が即位したばかりの政情不穏の時代を舞台にした、アセルスタン修道士シリーズ1作目。
史実が大きく絡んだ冒険活劇ぽかったロジャー・シャロットシリーズの 『白薔薇と鎖』→感想) に比べ、こちらは連続殺人事件の謎解きが主体となっている。英国史の知識はあまり必要ないし、大ボラ&下ネタ炸裂のロジャーのアクの強い語り口と異なり、落ち着いた文章で読みやすい(まあ、主人公のアセルスタンが修道士ですから。といっても、悟りきったような存在ではなく、家族を死に追いやった過去に苦しみ、美しい信徒ベネディクタへの想いに悩んでいる青年神父さんだけど)。謎解き部分も、トリック自体は小粒なものの(そういえばこのトリックって…)、全体として見たときのバランスは悪くない。
一緒に捜査をするようになって間もないアセルスタンと大酒飲みの巨漢ジョン・クランストン卿のコンビはまだ足並みが揃っていない感じがするけど、今後の巻で進展があるようなので、楽しみです。

このシリーズは続巻も翻訳予定だそうで嬉しいんですが、ポケミスのロジャー・シャロットシリーズ 『白薔薇と鎖』 の続きは出ないんだろうか。それと、ドハティの代表作だというヒュー・コーベットシリーズも読んでみたい。そうねえ、こうなったら、今度は光文社さんとかいかがでしょうか?(笑)

* Tag : ポール・ドハティ(ドハティー)  歴史/時代もの  

2006.10.04 23:07 | Comments(0) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

2006. 10. 03

『悪夢の一夜』 エリザベス・ギャスケル

A Dark Night's Work (1862)
エリザベス・ギャスケル / 朝川真紀・中村美絵 訳 / 近代文芸社
[ Amazon ]

幼いときに母を亡くし、父親と強い絆で結ばれて成長したエリノア。やがて野心家の青年コーベットと婚約し、幸せいっぱいの毎日を送っていた。しかし、ある夜、父親のウィルキンズ氏が仲の悪い共同経営者ダンスター氏を激しい口論の末に、あやまって殺してしまう。エリノアとウィルキンズ氏は忠実な御者ディクソンとともに、ダンスターの死体を庭に埋めて隠蔽を図るが、罪の意識に激しく苦しむようになる。それはまた、エリノアとコーベットの婚約にも暗い影を落とすのだった…。

殺人は起きるもののミステリーでもスリラーでもなく、殺人を犯した父と隠蔽を手伝った娘が罪の意識に追い詰められていく話。ヴィクトリア朝的道徳観らしいお定まりの展開で、つまらなかった。
そもそも、このウィルキンズ氏というのがどーしようもない人物なので(事務弁護士である彼が堕落していく過程が詳細に描かれている)、そんな父親を盲目的に愛し、最後までその本質に気づかない(父の言うことをなんでも鵜呑みにしてしまう)エリノアが悩み苦しむことになろうとも、あまり同情する気になれない。エリノアは父のことを気の毒な人物だと言うが、共同経営者に仕事を怠けていることを責められて逆ギレし、相手を殴って死なせてしまい、自分の預かり金使い込みを彼がやったことにしてしまう人物のどこが気の毒ですって? でも、エリノアは父親思いの勇敢で優しい娘ということになっているので、ストーリーはそんな彼女に同情的な展開を見せ(もっともエリノアもそれなりの苦労はするわけですが)、読んでて白けていく一方なのでした…。

* Tag : エリザベス・ギャスケル  

2006.10.03 23:10 | Comments(0) | Trackback(0) | 海外文学-19世紀

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読んだ本の感想メモ、気になる本の情報など。翻訳小説が中心です。特に好きなのは、海外古典ミステリと19世紀イギリス文学。
[ 管理人 : Rie ]

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