2006年07月の記事一覧
- 2006-07-31 『コーネル・ウールリッチ傑作短篇集(2) 踊り子探偵』 [ミステリ&サスペンス]
- 2006-07-27 『読者よ欺かるるなかれ』 [ミステリ&サスペンス]
- 2006-07-26 『異色作家短篇集6 くじ』 [海外文学]
- 2006-07-25 気になる本 [気になる新刊・近刊]
- 2006-07-24 『推定相続人』 [ミステリ&サスペンス]
- 2006-07-21 『一八八八 切り裂きジャック』 [国内作品]
- 2006-07-19 『他言は無用』 [ミステリ&サスペンス]
- 2006-07-17 『死の舞踏』 [ミステリ&サスペンス]
- 2006-07-12 『愛の重さ』 [海外文学]
- 2006-07-11 『エンデュミオン・スプリング』 [SF&ファンタジー]
- 2006-07-10 『怪奇小説傑作集(1) 英米編1』 [怪奇小説&ホラー]
- 2006-07-06 『手紙と秘密』 [ミステリ&サスペンス]
- 2006-07-05 『夢みる宝石』 [SF&ファンタジー]
- 2006-07-03 『霊応ゲーム』 [海外文学]
2006. 07. 31
『コーネル・ウールリッチ傑作短篇集(2) 踊り子探偵』
門野集 訳 / 白亜書房[ Amazon ]
収録作 : 「目覚める前に死なば」 「騒がしい幽霊」 「ワルツ」 「晩餐後の物語」 「踊り子探偵」 「黒い旋律」 「妻がいなくなるとき」 「舞踏会の夜(初期ロマンス短篇)」
私にとっては、ウールリッチ(ウィリアム・アイリッシュ)の作品というと真夜中すぎのひんやりとした夜気のイメージがあるので(ウールリッチ作品の感想のたびにこのこと書いてるな)、真夏の暑い日に読むにはうってつけだと勝手に思い込んでいます。この短篇集も、ほとんどの作品が夜が舞台。
特に印象的だったのは、ウールリッチも怪奇小説書いてたの…?と思いきや意外な展開をみせ、弱気な主人公の語りも楽しい「騒がしい幽霊」、『黒衣の花嫁』 などの復讐ものの縮図ともいえる「晩餐後の物語」。表題作の「踊り子探偵」と「黒い旋律」はどちらも若い女性が殺人鬼に立ち向かうサスペンスで、さらに事件担当の刑事と恋に落ちる…というロマンスがあるところも同じなので、どうしても印象が被ってしまうなー。
ちなみに、短篇集第1巻 『砂糖とダイヤモンド』 の感想は こちら。
* Tag : 短編集
2006. 07. 27
『読者よ欺かるるなかれ』
The Reader Is Warned (1939)カーター・ディクスン / 宇野利泰 訳 / ハヤカワ・ミステリ文庫
[ Amazon ]
女性作家マイナが催した、読心術師ペニイクを囲んでの夕食会。招待客の心を次々と当てたペニイクは、さらにマイナの夫の死を予言する。はたして予言の時刻、衆人環視の中で、夫は原因不明の死を遂げた! ペニイクは念力で殺したというが、逮捕しようにも証拠がない。遅れて到着したヘンリー・メリヴェール卿に、ペニイクは新たな殺人予告をするが…。不可能と怪奇趣味を極めた著者のトリックに、読者よ欺かるるなかれ。
題名といい、本文中に挿入される読者への警告文といい、「読者への挑戦状」テイストむんむんの本書なのですが…。第一の事件の真相が読者には思いつきそうもないものなので、「読者への挑戦」としてアンフェアに思えてしまう。
カーって、なんとか読者の裏をかいてやろうと力を入れた作品(本書とか『殺人者と恐喝者』とか)に限って、すべってるような…。
2006. 07. 26
『異色作家短篇集6 くじ』
The Lottery; or, The Adventures of James Harris (1949)シャーリイ・ジャクスン / 深町眞理子 訳 / 早川書房
[ Amazon ]
町中の人が集う広場で行なわれるくじ引きで、いったい何が決まるのか―。表題作「くじ」のほか、人間の残酷さを抉り出し、読む者を狂気の世界へ誘う21編を収録した短篇集。
ヤマもなく、オチもない、日常生活のなかにかすかなさざ波が立った場面が切り取られているだけなのに、なぜか心にしこりを残すような、そんな作品の多い不思議な短篇集でした。
特に印象に残ったのは、「おふくろの味」「背教者」「歯」。
表題作の「くじ」は、あまりピンとこなかった。毎年くじ引きを行う村人たちの残酷さよりも、それまではなんの異議もなくくじ引きに参加しておきながら、いざ自分が「当たり」となると「こんなのフェアじゃない」と騒ぎ出す女の姿のほうが印象的だったり。
シャーリイ・ジャクスンは去年読んだ長編 『たたり』(別題 『山荘綺談』)も素晴らしかったけど、そういえば感想書きそびれていたなあ…。
* Tag : 短編集
2006. 07. 25
気になる本
▼ 7月の新刊から
『でかした、ジーヴス!』
P・G・ウッドハウス / 国書刊行会
Amazonにはまだ出てないけど、書店に並んでいたので購入。でも、読むのはもうちょっと後になりそう。
『シャルビューク夫人の肖像』
ジェフリー・フォード / ランダムハウス講談社
『白い果実』 の著者の、19世紀末のニューヨークが舞台の幻想文学(…だよね?)
『猫島ハウスの騒動』
若竹七海 / 光文社
葉崎シリーズ。若竹さん、何年ぶりの新刊でしょう。おまけに、ねこ、ネコ、猫〜♪

『風の影 (上)』 『風の影 (下)』
カルロス・ルイス・サフォン / 集英社文庫
これは読もうかどうしようか悩み中。でも、本書のサイトまで作っちゃった出版社の熱の入れようを見ると、やめといたほうがいいような気がしないでもない…?(笑)
▼ 8月の刊行予定から
『砂漠で溺れるわけにはいかない』
ドン・ウィンズロウ / 創元推理文庫
ニール・ケアリーシリーズ最終巻。
▼ 9月の刊行予定から
東京創元社メールマガジン 近刊案内(2006年9月刊行予定分)より
創元からもドハティーが出るのね!
マキャフリーのファンタジーは、『だれも猫には気づかない』 『天より授かりしもの』 と同系統かな。
『でかした、ジーヴス!』
P・G・ウッドハウス / 国書刊行会
『シャルビューク夫人の肖像』ジェフリー・フォード / ランダムハウス講談社
『白い果実』 の著者の、19世紀末のニューヨークが舞台の幻想文学(…だよね?)
『猫島ハウスの騒動』若竹七海 / 光文社
葉崎シリーズ。若竹さん、何年ぶりの新刊でしょう。おまけに、ねこ、ネコ、猫〜♪

『風の影 (上)』 『風の影 (下)』カルロス・ルイス・サフォン / 集英社文庫
これは読もうかどうしようか悩み中。でも、本書のサイトまで作っちゃった出版社の熱の入れようを見ると、やめといたほうがいいような気がしないでもない…?(笑)
▼ 8月の刊行予定から
『砂漠で溺れるわけにはいかない』
ドン・ウィンズロウ / 創元推理文庫
ニール・ケアリーシリーズ最終巻。
▼ 9月の刊行予定から
東京創元社メールマガジン 近刊案内(2006年9月刊行予定分)より
◇『毒杯の囀(さえず)り』 ポール・ドハティー著/古賀弥生訳
奇怪な毒殺に挑むアセルスタン修道士。中世謎解きシリーズ開幕。
◇『もしも願いがかなうなら』 アン・マキャフリー著/赤尾秀子訳
マキャフリーが贈る、優しさと希望にあふれたファンタジー小品。
奇怪な毒殺に挑むアセルスタン修道士。中世謎解きシリーズ開幕。
◇『もしも願いがかなうなら』 アン・マキャフリー著/赤尾秀子訳
マキャフリーが贈る、優しさと希望にあふれたファンタジー小品。
創元からもドハティーが出るのね!
マキャフリーのファンタジーは、『だれも猫には気づかない』 『天より授かりしもの』 と同系統かな。
2006. 07. 24
『推定相続人』
Heir Presumptive (1935)ヘンリー・ウエイド / 岡照雄 訳 / 国書刊行会
世界探偵小説全集13
[ Amazon ]
気ままな生活を送る遊び人ユースタスは、借金を重ねて零落の危機にあった。折りもおり、親戚の水死事故の報を耳にした彼は、莫大な富を有する一族の長老、バラディス卿の財産相続権を狙って、間に立ちふさがる上位相続人の殺害を決意する。思いがけず標的の従兄から鹿狩りに招待され、計画は順調に進むかに見えたが…。二転三転する展開と意外な結末、英国ミステリきっての実力派ウエイドの傑作。 (出版社の紹介文より)
読了。
* Tag : 世界探偵小説全集
2006. 07. 21
『一八八八 切り裂きジャック』
服部まゆみ / 角川文庫 (1996)[ Amazon ]
時は一八八八年、大英帝国の首都ロンドン。「切り裂きジャック」と呼ばれる謎の殺人者による連続殺人事件が、街中を恐怖に陥れていた。医学留学生としてロンドンに滞在していた日本人・柏木は、友人でロンドン警視庁に所属する美青年・鷹原とともに、この事件と深く関わりを持つことになる―。
エレファント・マンや少女時代のヴァージニア・ウルフなど多数の実在の人物を配し、英国留学中の日本人青年2人の視点から切り裂きジャック事件について描いた作品。
かなり分厚い本なのだけど、読んでも読んでも全然おもしろくならないので、後半流し読み。
私にとって何がダメだったかって、まず登場人物の設定。伯爵家長男(おまけに出生にまつわる悲劇付き)・鋭い知性・目を瞠るほどの美貌・イギリス社交界の寵児、さらに世の中を達観しているという鷹原惟光の「いかにも」すぎるキャラクター造形には心底辟易。その親友で語り手である柏木薫は、東大医学部を卒業して公費でヨーロッパ医学留学中という設定だとは思えないくらい頭良くないし、あんた中学生?と言いたくなるようなモラトリアム状態だし。物語の前半ほとんどが、鷹原が薫をあちこち連れ出して多くの重要人物たちに会わせ、薫がいちいち「英国皇太子と懇意の仲の鷹原、スゴイ」「エドワード王子(クラレンス公)に慕われている鷹原、スゴイ」「こんな重要人物たちと対等にお付き合いしている鷹原、スゴイ」と感心するというエピソードの繰り返しに費やされていて、げんなりした。
切り裂きジャックを扱った歴史ミステリーとして見ても、事件をなぞっているだけで新味はないし、真犯人像もありがち。
しかし、柏木薫ってすごい名前。(「源氏物語」にちなんで鷹原が「光の君」と呼ばれている、というエピソードがあるのでなおさら…)
2006. 07. 19
『他言は無用』
Keep It Quiet (1935)リチャード・ハル / 越前敏弥 訳 / 創元推理文庫
[ Amazon ]
英国紳士の社交場―クラブ。憩いを求めて三々五々、会員たちは足を運ぶ。名探偵気取りの弁護士、すべての人の望みをかなえようとして、すべての望みをかなえられない幹事殿、苦情に生きがいを見いだす問題児、わが道をゆくシニカルな開業医…。彩豊かな配役が右往左往するなか、動きだした物語はどこへ転がってゆくのか? 『伯母殺人事件』の技巧派が贈る、趣向三昧の第二長編。 (裏表紙より)
読了。
2006. 07. 17
『死の舞踏』
Dance of Death (1938)ヘレン・マクロイ / 板垣節子 訳 / 論創海外ミステリ51
[ Amazon ]
12月、雪のニューヨーク。その夜、一体の異様な死体が発見された。雪のなかに埋まっていた若い女性の死体は、なんと熱かったのである! 精神科医ベイジル・ウィリング博士が捜査に乗り出し、娘のお披露目パーティにすべてをかける義母や軍需品会社の経営者、ゴシップ記者といった人物による無意識の行動をつぶさに検証する。その先に浮かぶ恐るべき意図とは? サスペンスや短編にも長けたマクロイのデビュー作にして、傑作本格。ベイジル・ウィリング初登場作品、ここに刊行。
マクロイって、デビュー作からなかなか高レベルの作品を書いていたんだなあ。
冒頭から、雪の中の熱を帯びた死体という奇妙な謎、さらにそれに追い被せるように被害者の正体をめぐる陰謀話を連続技で繰り出して、読者の興味をがっちりと掴んでしまう。それに比べると容疑者ひとりひとりを順番に取り調べていくその後の展開はやや平板だし、ちょっと強引な部分もあるけど、犯人の正体とその動機は意外性十分(でも、ちゃんと細かな伏線は張られているんだよね)。
しかし、これは原書で読まないといけない作品ですね。
ところで、論創社さんはこの後のマクロイの未訳作品も訳してくれる予定はあるのでしょうか? ベイジル先生とギゼラが出会う事件の話とか読んでみたいよー。
* Tag : 論創海外ミステリ
2006. 07. 12
『愛の重さ』
The Burden (1956)アガサ・クリスティー / 中村妙子 訳 / ハヤカワ・クリスティー文庫
[ Amazon ]
ローラは寂しい少女だった。両親の愛は、若くして死んだ兄に向けられ、さらに生まれたばかりの妹シャーリーがその愛を奪おうとしている。ローラは嫉妬を覚えた。だが、家が火災に見舞われ妹を救いだしたことで、ローラは愛する歓びを知り、ひたすらシャーリーに愛を注ぎこむ。それが妹の重荷になるとも知らず…。 (裏表紙より)
読了。
2006. 07. 11
『エンデュミオン・スプリング』
Endymion Spring (2006)マシュー・スケルトン / 大久保寛 訳 / 新潮社
[ Amazon ]
『最後の書(ラスト・ブック)』を手にした者は全世界を支配できる。もし悪人の手に渡ったら、世界は破滅への道をたどるのだ。ただし、その本のページは空白で、選ばれし者しか読むことができない。――1450年代ドイツの章は、グーテンベルクなど歴史上の人物が登場、印刷術秘話も織り込まれる。現代のオックスフォードが舞台の章は、主人公ブレークが追跡者の影に怯えながらも、本の謎を解明していく。果たしてその謎とは――。
読む前は大人向けのファンタジーかと思っていたのだけど、「児童文学」(訳者あとがきより)でした。どちらにしろ、あまりおもしろくなかった。
1450年代のマインツの章と現代のオックスフォードの章のそれぞれの主人公である十代前半の少年ふたりにも、その他の登場人物たちにも、ほとんど魅力がない。ストーリーのほうも、「最後の書」に「全世界を支配できるだけの知識が詰まっている」という強大な力を与えておきながら、本を奪おうとする悪者は全然恐ろしくない小物だし、結局オックスフォード大学内での追っかけっこに終わっているしで、なんともとほほ感が…。
2006. 07. 10
『怪奇小説傑作集(1) 英米編1』
平井呈一 編・訳 / 創元推理文庫[ Amazon ]
ブルワー・リットン 「幽霊屋敷」
ヘンリー・ジェイムズ 「エドマンド・オーム卿」
M・R・ジェイムズ 「ポインター氏の日録」
W・W・ジェイコブズ 「猿の手」
アーサー・マッケン 「パンの大神」
E・F・ベンスン 「いも虫」
アルジャーノン・ブラックウッド 「秘書奇譚」
W・F・ハーヴィー 「炎天」
J・S・レ・ファニュ 「緑茶」
数年前から英米怪奇小説のアンソロジーを好んで読んでいるのですが、実はいちばんの入門書というべき本傑作集をまだ読んでいませんでした。ちょうど今、新版が刊行中なので、これを機に5巻全部読んでみようかと。
1冊目の「英米編1」は各短篇の発表年数が19世紀半ばから20世紀初頭ということで、語り口は良くも悪くも古めかしい。しかし、内容のほうはそんなこともなく、さまざまな種類の怪奇小説が選ばれていてバラエティー豊か。幽霊話が大半かと思っていたのに、超常現象ではなく人間の異常心理を描いたサイコホラーのような話が半分ほどを占めていたのはちょっと驚きでした。
なかでも印象的だったのは、ミステリのような展開を併せ持つ「パンの大神」、不気味な屋敷での恐怖の一夜からバカ話へと変貌する「秘書奇譚」、シンプルな短い話ながらもそれゆえに強烈な「炎天」(今の時期に冷房のきいていない蒸し暑い部屋で読むと臨場感満点)。
ところで、本書の編者でもある平井呈一氏の翻訳は名訳なんですが(恐怖小説史について述べられた巻末の解説もとても参考になる)、一箇所、思わず噴き出してしまったところがありました。「がまんできない。あばよ」「あばよ、オースチン」――それを読んだ途端、私の脳内には柳沢慎吾の顔をした英国紳士ふたりが会話をしている光景が…(笑)
* Tag : 短編集
2006. 07. 06
『手紙と秘密』
Letter from Home (2003)キャロリン・G・ハート / 長野きよみ 訳 / ハヤカワ・ミステリ文庫
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第二次世界大戦の最中、町の男たちは兵士として次々と徴用され、人手不足のためグレッチェンは13歳にして少女新聞記者として働き始める。その直後、友人バーブの母が殺され、バーブの父が容疑者として指名手配された。バーブの母が夫の留守中に不倫をしていたとの噂を聞くが、グレッチェンには信じられない。グレッチェンは“少女探偵”となって、真相を追うが…。
アニーシリーズやヘンリー・Oシリーズで有名なキャロリン・G・ハートの単発作品。
中途半端…とまではいかないにしても、「もうあと一歩」という物足りなさが残った。結局、主人公の少女グレッチェンが、事件の真相に迫る「探偵役」としても、被害者の本当の姿を伝えようとする新聞記者としても、どちらもうやむや状態のまま町を離れてしまうことになるせいかな。(その点では「ミステリ」というより「少女のひと夏の経験を描いた作品」と言ったほうがいいかも)
それに、事件前にグレッチェンが語る被害者フェイの母親像があまりいい印象を持たないものばかりなので(まともな食事を作らないだとか、夜に年頃の娘をひとりで家に残して踊りに出かけるだとか)、事件が起きてからグレッチェンが「フェイは本当はいい人だったのよ!」と主張しはじめるのがすごく唐突に感じられる。グレッチェンがフェイの周囲の人たちに思い出話を聞いてまわり、彼女の本当の姿を伝えようと書いた記事にしたって、インタビューされた人たちが「死んだ人のことは悪く言わないでおこう」と良い話だけ語ったんじゃないの、って思えてしまう…。
どうも私はアガサ賞受賞作品とは相性が悪いみたい。コージーミステリを好んで読んでいた頃からそうだったんだけど…。アガサ・クリスティは大好きなのにねー。
2006. 07. 05
『夢みる宝石』
The Dreaming Jewels (1950)シオドア・スタージョン / 永井淳 訳 / ハヤカワ文庫SF
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家出少年のホーティがもぐりこんだのは、普通でない人間たちが集うカーニヴァル。団長のモネートルには奇妙な趣味があった。宇宙から来た不思議な水晶の蒐集と研究だ。水晶たちが夢をみるとき、人や動物や植物が生まれる――モネートルはそれを利用して、己の野望を果たそうとしていたのだ。そのことを知ったホーティやカーニヴァルの団員は、恐ろしい運命の渦に巻きこまれていく。幻想SFの巨匠がつむぎだす珠玉の名品。
ものを生み出す宝石の仕組みがどうもよくわからなかったけれど、その他の点では「あー、スタージョンだな〜」としみじみ感じられる作品。優しいラストが心に沁みる。
見世物小屋のようなカーニヴァルという不気味な場所を舞台にしながらも、美しく幻想的な物語。
青年になったホーティが素敵だなあ。
2006. 07. 03
『霊応ゲーム』
The Wishing Game (1999)パトリック・レドモンド / 広瀬順弘 訳 / 早川書房
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1954年、ノーフォーク州の名門パブリックスクール、カークストン・アベイ校。14歳の生徒ジョナサンは同級生ばかりか教師にもいじめられ、つらい日々を送っていたが、ある出来事をきっかけに、カリスマ性を持った一匹狼的存在のリチャードと親しくなる。しかし、リチャードとの親交によってジョナサンへのいじめはますます残酷なものに。そんなジョナサンをリチャードがかばい、二人の仲はより親密になっていく。やがて、ジョナサンをいじめた生徒や教師たちが一人また一人と原因不明の事故の犠牲になるという恐ろしい事件が起こり始める…。
おもしろかったー。寝る前にちょっとのつもりで読み始めたところが、ページをめくる手が止まらず、未明近くまでかかって一気に読んでしまった。
いちおうホラー、なんだろうか。しかし、超自然的な存在あるいは現象が直接描写されることはなく、それを読者の想像にゆだねることによって、物語の禍々しい雰囲気をさらに際立たせているといったタイプの作品。
それよりも、全寮制パブリックスクールという閉鎖的な空間で繰り広げられる少年たちの心理スリラー、と言ったほうがいいかな。この少年たちのリアリティーのある性格描写・心理描写がとても魅力的だった。私は、主人公のジョナサンよりも彼の以前からの親友であるニコラスのほうに感情移入して、リチャードの残酷さにぞっとしながら読んでいたけど。ジョナサンとリチャードの関係は友情なんかじゃないと思う、ただの相互依存だよ(ジョナサンはリチャードと一緒にいることによって自分も強い存在であるという気持ちになっていただけ、リチャードはジョナサンを独占したかっただけ)。
