* Caramel Tea *

Reading Diary

2005年11月の記事一覧

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2005. 11. 28

『ネクロポリス』 恩田陸

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恩田 陸 / 朝日新聞社 2005-10 [ Amazon:上 ] [ Amazon:下 ]

懐かしい故人と再会できる聖地――アナザー・ヒル。
死者たちを『お客さん』と呼び、温かく迎えるヒガンという祝祭空間。
連続殺人、不可思議な風習、天変地異、そこに新たな事件が――

うーん、正直言って、これはがっかり……。これまで読んだ恩田作品のなかで、ワーストワンかもしれない。いつもは「中盤はすごくおもしろいのに、尻すぼみのラストで脱力」という感じだけど、今回は最初から違和感がつきまとっていた。
「英国と日本の文化や風習が奇妙に混ざり合った島」の聖地アナザー・ヒルに「死者たちが現世に実体ある存在として還ってくる」という設定上、日本とイギリス両国の文化・民俗学・死生観・宗教観などが複雑に絡んでくるはずなのに、そのあたりをよく下調べせずにフィーリングだけで書いてしまった、という印象(ところどころ間違いもあるし。英国国教会に関しての記述とか)。そもそも、「英国による植民地支配後、日本の文化が移入した歴史をもつ極東の島国V.ファー」というわかりづらい舞台設定がうまくいっていると思えない。「紅茶」「パブ」「古城ホテル」などといったイギリス風モチーフも単なる記号の羅列でしかないし、一応イギリス人のはずのアナザー・ヒルの住人たちの言動も、どう見ても日本人のものとしか思えず……。
ストーリーのほうも、連続猟奇殺人犯「血塗れジャック」の謎、アナザー・ヒルの謎、ラインマンの謎、などなど風呂敷を大きく広げておきながら、最後に次々と解決されていく場面はやっつけ仕事のような感じ。投げ出されてしまった要素もあるし。

せっかくの最長編作品なのに、なんだかもったいないなあ……。下準備とか物語を練り込むための時間がなかったのかな……。


▼ 文庫化 (2009年1月刊行)

ネクロポリス(上) (朝日文庫)
ネクロポリス(下) (朝日文庫)
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2005.11.28 23:06 | Comments(0) | Trackback(0) | 国内作品

2005. 11. 22

『それゆけ、ジーヴス ウッドハウス・コレクション(3)』

Amazon.co.jp で詳しく見るCarry ON, Jeeves (1925)
P・G・ウッドハウス / 森村たまき 訳 / 国書刊行会
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国書版ウッドハウス第3弾となるこの本、今度は短篇集。全10篇、最初から最初までたっぷり堪能しました~。ジーヴスものは、短篇のほうが 『よしきた、ジーヴス』 のような長編よりも好きです。
なかでも印象的だったのは、バーティーではなくジーヴスが語り手なのが珍しい、「バーティー考えを改める」(この短篇は文春の 『ジーヴズの事件簿』 にも収録されているらしい。そちらもいずれ読むつもり)。いつもは何考えてるんだかよくわからないジーヴスの内面が、ちらりと窺えるのが楽しい。そうか、ジーヴスはジーヴスなりに(笑)のんきな若旦那のバーティーが好きで、彼との暮らしが気に入っているんだ。ジーヴスも御主人のこと、「困ったおばかさんだ!」と微笑ましく思っているのかしらん(笑)

ところで、一つ目の「ジーヴス登場」に名前が出てくるブランディングス城のエムズワース卿。文藝春秋のウッドハウス選集第2巻は、このエムズワース卿ものの 『エムズワース卿の受難録』 で、12月15日発売予定だとか。楽しみだ~。
http://www.bunshun.co.jp/book_db/html/3/24/60/4163246002.shtml


※ ジーヴスシリーズ登場人物リスト (2006.09追加)
http://www012.upp.so-net.ne.jp/carameltea/book/jeeves.html

* Tag : P・G・ウッドハウス  

2005.11.22 23:50 | Comments(2) | Trackback(1) | 海外文学-20世紀前半

2005. 11. 18

『見えないグリーン』 ジョン・スラデック

Invisible Green (1977)
ジョン・スラデック / 真野明裕 訳 / ハヤカワ・ミステリ文庫
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ミステリ好きの男女七人がレストランに集って読書会を開く「素人探偵七人会」。戦争で会は解散したが、35年後、メンバーの一人ドロシアが再会の集いを開こうと言い出す。しかし、内側から鍵のかかったトイレのなかで老人が奇怪な死を遂げているのが発見されたのを皮切りに、グループのメンバーが一人、また一人と殺されてゆく。素人探偵のサッカレイ・フィンは、ドロシアから事件の捜査を依頼されるが……。

さりげなく張られた伏線、最初と三つ目の殺人のトリックなどは確かに素晴らしい。だけど、話そのものはあまりおもしろく思えなかった。デアンドリアの 『ホッグ連続殺人』 (1979年)もそんな感じだったな。解説の鮎川哲也は「戦後の本格物はアメリカのもののほうがおもしろい」というようなことを書いているけど、逆に私は、この年代のアメリカの本格物とは相性が合わないのかも。
でも、月に一度集まって、クリスティーやセイヤーズやクイーンの最新作(!)を論じ合うという「素人探偵七人会」はすごくおもしろそう。もっとも、このメンバーの顔ぶれじゃ、あまり楽しくないかもしれないけど。

2005.11.18 00:12 | Comments(0) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

2005. 11. 15

『陰陽師 瀧夜叉姫』 夢枕獏

Amazon.co.jp で詳しく見る 

夢枕 獏 / 文藝春秋 (2005-09)
[ Amazon:上巻 ] [ Amazon:下巻 ]

都に連続する怪しげな出来事。その事件が、やがて恐るべき陰謀へ繋がり始める。都の存亡の危機に晴明、博雅が大活躍する傑作長篇。

これは、おもしろかった! もう、先の展開が気になって気になって。今回はストーリー性が強いせいか、いつもの「陰陽師」シリーズの雰囲気はちょっと薄いような気がするけれど、あー、でもあのクライマックスはこのシリーズの真骨頂、かな?
映画化に際して考えたネタのひとつで、没になったのをあたため直して書いた作品なのだとか。なるほど、映画で観てみたいと思わせる話でした。(ただし、数年前の映画のようなのだけは勘弁。あんまりひどくて、途中で観るのをやめてしまったくらいだもの。「野村萬斎=晴明」というキャスティングは良いと思うんだけど、でもあのなかではひとりだけ存在感が浮いてるんだよねえ…)


▼ 文庫版 (2008年9月刊行)
陰陽師 瀧夜叉姫 (上) (文春文庫 ゆ 2-17)
陰陽師 瀧夜叉姫 (下) (文春文庫 ゆ 2-18)

* Tag : 歴史/時代もの  

2005.11.15 23:52 | Comments(0) | Trackback(0) | 国内作品

2005. 11. 11

続きます

宮部みゆき 『弧宿の人』 に続き、梶尾真治 『精霊探偵』 を読み終わったので、次は夢枕獏 『陰陽師 瀧夜叉姫』 を読む予定。
最近めずらしく国内作品が続いているのは、図書館に予約しておいた本が一度にどばっと来たからです。新刊の本ばかりで私のあとにも予約している人がたくさんいるから、急いで読んで返さなくちゃいけないし。

舞台となる時代は江戸・現代・平安とバラバラなこの三作品ですが、鬼や悪霊の存在が物語に深く関わってくるという点が、偶然にも共通しています。だけど、そのアプローチの仕方はこれまたバラバラ。『弧宿の人』 は「鬼や悪霊が憑くなんてことはない、人間が自ら進んで悪いことをするのだ」という論調でしたが、『精霊探偵』 はそれとは正反対に、背後霊や取り憑いたモノが人間を支配、もしくは影響を与えるという話(憑依物のせいで悪事を犯す人も出てきます)。『瀧夜叉姫』 はまだ読んでいないけど、多分、後者タイプだよね。

2005.11.11 23:36 | Comments(0) | Trackback(0) | 未分類

2005. 11. 11

『精霊探偵』 梶尾真治

Amazon.co.jp で詳しく見る梶尾真治 / 新潮社 (2005-09)
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事故で妻を失ってから、私には他人の背後霊が見えるようになった。霊は実に表情豊かで、色々なことを教えてくれる。霊の示唆で相談事を解決するうち、それが評判となり、人捜しの依頼が舞い込んだ。どこかで、誰かの背後霊になった妻に会えるかもしれない。依頼を受けて捜査を始めた矢先、奇妙な出来事が身の回りに起こり始める―。

アマゾンの画像ではわかりにくいですが、表紙は黒猫の写真です。物語のなかでも猫たちが大活躍。
主人公・新海の「背後霊が見える」という特殊技能を生かしての探偵稼業ストーリーかと思いきや、依頼された人捜しはどんどん予想外の方向に発展していく。ミステリーじゃなくて、SFファンタジーだったのね。著者が誰かって考えてみれば、そんなに意外ってほどでもないのだけれど。でも、最後のサプライズはひねってあって、ちょっとビックリでした。
押しかけ探偵助手となるおませな少女・小夢ちゃんやホームレスの荒戸さんなど、脇キャラの存在がおもしろくて、楽しく読めました。
でも、<涙腺ゆるむサプライズまで一直線。今度は「泣ける」だけじゃない!>という新潮社のオビはいただけません。だって、そんな話じゃないでしょうに……。

ラストの決着のつけ方は、最初は「ええーっ?!」と思いましたが、まあ、あれがいちばんいい解決法なのかも。少なくとも、主人公にとっては。


▼ 文庫化 (2008/01)

精霊探偵 (新潮文庫)

2005.11.11 23:03 | Comments(2) | Trackback(1) | 国内作品

2005. 11. 04

『ヴィンテージ・マーダー』 ナイオ・マーシュ

Amazon.co.jp で詳しく見るVintage Murder (1937)
ナイオ・マーシュ / 岩佐薫子 訳 / 論創海外ミステリ28
[ Amazon ]

休暇でニュージーランドへやってきたアレン警部は、旅公演中のイギリスの劇団一行と夜行列車で一緒になる。その夜、主演女優キャロリンの夫で劇団オーナーのマイヤーが揺れる列車から突き落とされそうになり、また、新人女優の所持していた大金が盗まれていたことが発覚する。そして翌日、初日公演終了後にキャロリンの誕生日を祝うパーティーが開かれた舞台の上で、天井から吊るされていたヴィンテージ・シャンパンの巨大なボトルが頭上に落下、マイヤーが即死するという事件が起きた。アレンは、キャロリンを驚かせるためにマイヤーが仕掛けた装置に、誰かが細工を加えたことに気付く…。

ナイオ・マーシュの長編4作目、ロデリック・アレン警部もの。
マーシュの作品を読んでいると、「事情聴取シーンが長いのがちょっとタルいなあ…」と思うことがあるのですが(探偵役のアレンが職業警察官だというせいもあるかも ※1)、この作品の場合、あまりにも長すぎる。事件が起きた後のほとんどのページが、事情聴取もしくは現場検証のシーンなんだもの(途中でアレン警部がピクニックに行ったり、マオリ人医師の家に食事に招かれたりもするのだけど、そこでも事情聴取の会話が大半を占める)。その割りに、最後に明らかになる殺人のトリックなどは小粒だし。
ニュージーランド人で演劇の分野でも活躍していたマーシュの「ニュージーランドを舞台にした、劇場で殺人が起きる演劇ミステリ」…という点では、興味深い箇所(イギリス人に対するニュージーランド人の視線だとか)もいくつかあるけれども、事情聴取の場面が延々と続く退屈さを補うまでには至っていないように思えます。
※1 のちの作品になると、事件関係者のひとりが主人公&アレン警部は第三者的立場に、という形式が多いのは、アレン視点では物語に動きが出にくいとマーシュ自身も思うようになったのかもしれないなあ…

でも、マーシュの作品の持つ雰囲気そのものは、やっぱり好きだな。ポンポンと飛び交う軽妙な会話の応酬には、演劇に例えるなら、軽いコメディのような楽しさがあります。
ところで、本作品中でアレン警部たちが何度もある事件のことを話題にしているのですが、訳者あとがきによると、それは長編2作目 『殺人者登場』 の事件のことらしい。なんか、犯人の名前らしきものとかも出てきて、ド派手にネタばれされちゃったっぽいんですけど…。まあいいか、『殺人者登場』 は原書にでも当たらない限り、読めそうもないし…。

* Tag : ナイオ・マーシュ  論創海外ミステリ  

2005.11.04 23:55 | Comments(4) | Trackback(0) | ミステリ&サスペンス

2005. 11. 01

紅茶の日

右のサイドバーに、読書中の本を表示できるようにしてみました。

* * * * * * * * * *

本日11月1日は「紅茶の日」なんだそうです。
というわけで、紅茶をおいしくいただくためのお供に、スコーンを焼きました。粉とバターを混ぜるのはいつもは手でやるのですが、今日は初めてフードプロセッサーを使ってみました。あっという間に上手に仕上がって、これは便利~(でも、うちのフードプロセッサーは小さいのか、小麦粉200gでいっぱいいっぱいって感じでした…)。で、これまたいつもは生地の成形は手で適当に丸型にして済ませてしまうのですが、今日はめん棒でのばして菊型で抜いて焼いてみたところ、横に割れ目もできてそれなりのものが出来上がりました。
スコーンはいつも、『イギリスのお菓子』 の北野佐久子さんのレシピで作っています。本場の味に近い、と評判がいいみたい。私もイギリスへ行ったときに何軒かのお店でスコーンを食べたけど、上にのせて食べるクロテッドクリームのおいしさの記憶ばかりが強くて、肝心のスコーンそのものの味はあまり覚えていない…。

紅茶のほうは、今日はイングリッシュブレックファーストをミルクティーで飲みましたが、最近お気に入りなのが、トワイニングの「レディ・グレイ」。「アールグレイにオレンジとレモンの果皮・矢車菊の花を加えた」ものだそうで、ホットで飲むと本当にいい香りで気持ちが落ち着きます。「アール・グレイ(グレイ伯爵)」に対する「レディ・グレイ(グレイ伯爵夫人)」というネーミングもなんか好き。

2005.11.01 23:50 | Comments(0) | Trackback(0) | その他の話題・雑記

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読んだ本の感想メモ、気になる本の情報など。翻訳小説が中心です。特に好きなのは、海外古典ミステリと19世紀イギリス文学。
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