2005年09月の記事一覧
- 2005-09-22 『漆黒泉』 [国内作品]
- 2005-09-17 映画 『ルパン』 / 読書中の本 [その他の話題・雑記]
- 2005-09-15 『醜聞の館―ゴア大佐第三の事件』 [ミステリ&サスペンス]
- 2005-09-14 ドラマ 『殺意』 [その他の話題・雑記]
- 2005-09-12 『ドアをあける女』 [ミステリ&サスペンス]
- 2005-09-09 『ステファニーハウスの秘密』 [YA&児童書]
- 2005-09-09 ミステリ読書月間 / 『二都物語』 [映画&ミュージカル]
- 2005-09-06 『北壁の死闘』 [ミステリ&サスペンス]
- 2005-09-05 『墜ちる人形』 [ミステリ&サスペンス]
- 2005-09-02 『六死人』 [ミステリ&サスペンス]
2005. 09. 22
『漆黒泉』
森福都 / 文藝春秋 (2005-09)[ amazon ]
繁栄を極める宋の都。幼い晏芳娥の前に典雅な貴公子が現れて言った。「私はお前の夫となる男だよ」。だが僅か2年後、宰相の嫡子である未来の夫は暗殺された。成長した芳娥は男装に身を包み、「夫」の仇・司馬公の命を狙うが、公が漆黒泉の在処を知っているとわかり、一時休戦とする。亡き「夫」が探し求めた漆黒泉とは、原油が湧き出す泉のこと。隣国の侵攻から国を守るには、漆黒泉を誰よりも早く発見しなければ。
この著者の長編を読むのは初めてだったけど、あまりおもしろくなかった。連作短篇集のほうがいいと思うな。
婚約者・王雱の死の謎、彼が制定に尽力した「新法」を廃そうとする旧法派との攻防、漆黒泉を探す旅、そのどれにもあまり魅力を感じなかった。
登場人物たちも、短篇ならよいけれども長編のキャラクターとしてはちょっと弱いような気がする。それに、主人公の芳娥には本当に辟易させられた。すぐ人につっかかる激情的なじゃじゃ馬娘で、「王雱の妻」気取りでそれを大義名分にしてやりたい放題。だいたい9年前の8歳のときに二度会ったきり、その後すぐ死んでしまった25才も年上の婚約者のことで、どうしてそうも大騒ぎするのか、その思い込みの激しさについていけない(9年の間に相手をやたら美化しまくっているふしもあるし…)。おまけに、タカ派気味の愛国者で、敵側(政敵・敵国)の人間の行なった殺人やスパイ行為、戦争、策略に対しては口を極めて罵るくせに、自分側の人間が同じことをするときには正義面ってどういうことよ。ここまで嫌なヒロインっていうのも久しぶりかも。まあ、主人公とは言え、彼女の視点ベッタリの文章ではないのが救いだけど。
〔以下、ネタばれにつき、反転〕
2005. 09. 17
映画 『ルパン』 / 読書中の本
● 映画 『ルパン』
「ルパン、昔、大好きだったなあ〜」
夕刊の 映画 『ルパン』 の広告を見て、うちの母が語り始めました。
「もう夢中になってね、学校の図書館にあった本は全部読んだよ。貸し出ししていないものまで先生に頼んで貸してもらってね。でも、この映画のルパンは私のイメージとちょっと違うね」
そんな熱狂的なルパンファンの母に薦められ、小学生のときの私も子供向けのルパンの本を手にとってみたものの、緑の目の令嬢や四本指の魔女が出てくるおどろおどろしさにビビってしまい(今思えば怖がるようなものじゃないけど)、数冊読んだだけで終わってしまったのでした。
10代になってから何作品か文庫で読みましたが、実はどちらかといえばホームズ派なんだよね…。母よ、ごめん(笑)
でも、ルパンも好きなので映画観に行きたい〜。けど、いつも行くシネコンではやらないんだよなー。遠出するしかないのか…。
● 読書中の本
白衣の女 (上)
ウィルキー・コリンズ / 岩波文庫
『白衣の女』 の再読を始めました。1860年に発表された、英国ヴィクトリア朝のサスペンス・スリラー。
全三冊読むのにちょっと時間がかかるから、その間にたまっている読了本の感想を書いてしまおう…。
「ルパン、昔、大好きだったなあ〜」
夕刊の 映画 『ルパン』 の広告を見て、うちの母が語り始めました。
「もう夢中になってね、学校の図書館にあった本は全部読んだよ。貸し出ししていないものまで先生に頼んで貸してもらってね。でも、この映画のルパンは私のイメージとちょっと違うね」
そんな熱狂的なルパンファンの母に薦められ、小学生のときの私も子供向けのルパンの本を手にとってみたものの、緑の目の令嬢や四本指の魔女が出てくるおどろおどろしさにビビってしまい(今思えば怖がるようなものじゃないけど)、数冊読んだだけで終わってしまったのでした。
10代になってから何作品か文庫で読みましたが、実はどちらかといえばホームズ派なんだよね…。母よ、ごめん(笑)
でも、ルパンも好きなので映画観に行きたい〜。けど、いつも行くシネコンではやらないんだよなー。遠出するしかないのか…。
● 読書中の本
白衣の女 (上)ウィルキー・コリンズ / 岩波文庫
暑熱去らぬ夏の夜道、「ロンドンに行きたい」と声をかけてきた白ずくめの女。絵画教師ハートライトは奇妙な予感に震えた――。発表と同時に一大ブームを巻き起こし社会現象にまでなったこの作品により、豊饒な英国ミステリの伝統が第一歩を踏み出した。ウィルキー・コリンズ(1824−89)の名を不朽のものにした傑作。
『白衣の女』 の再読を始めました。1860年に発表された、英国ヴィクトリア朝のサスペンス・スリラー。
全三冊読むのにちょっと時間がかかるから、その間にたまっている読了本の感想を書いてしまおう…。
2005. 09. 15
『醜聞の館―ゴア大佐第三の事件』
Colonel Gore's Third Case ; The Kink (1925)リン・ブロック / 田中孜 訳 / 論創海外ミステリ22
[ amazon ]
元首相ハビランド卿の屋敷ダイクス・コートから、私信とフィルムが盗み出された。調査を依頼されたゴア大佐は、人格者であるはずの依頼人とその一族に、決して公にはされないもうひとつの顔を垣間見る…。
一見「カントリーハウスで殺人」もの、しかし、その穏やかなイメージとはかけ離れた作品。私、黄金期の推理小説で、乱交パーティーだとかポルノ映画だとか倒錯行為だとかをここまであからさまに描いている作品って、初めて読んだよ…。ちょっとびっくりでした。
巻頭の作品紹介文にも書かれているように、1925年に書かれた作品でありながら現代イギリスミステリにかなり近い感じ。上記の性的描写のはっきりさや内容といい、犯人の動機といい…。文体など、ところどころ「やはり1920年代に書かれた作品だな」と思わせる部分もあるけれど。
ハビラント卿周辺の人々の男女関係が乱れまくっているせいで、ある一組の男女のプラトニックな恋愛が際立ち、とても美しく見えてきます。よく考えてみると、その二人の関係もちょっと歪んでいるんだけどね。
* Tag : 論創海外ミステリ
2005. 09. 14
ドラマ 『殺意』
9月に入ってから5冊読み終えたのですが、そのうち4冊の感想が滞っています。
眠くって寝てしまったり、空いた時間があっても本を読むのに使ってしまいがちで…。
今は、7月に出た論創海外ミステリを2冊続けて読んでいます。
● ドラマ 『殺意』
テレビ東京系列で放送されていた2時間ドラマ 『殺意』 を観ました。
新聞のテレビ欄には「推理界の巨匠追悼企画」としか書かれておらず、巨匠というのは誰のことなのかさっぱりわかりませんが、エド・マクベインですね。『殺意の楔』 という作品を、日本を舞台に置き換えたものです。
まあ、実のところ、私の本当のお目当ては主演の上川隆也さんだったんだけど(笑)
内容のほうは、なんだか1時間ドラマのネタを2つくっつけただけみたいで、あまりおもしろくありませんでしたが、小説で読めばまた違うのかな?
それにしても、交通課が間抜けすぎだ…(笑)
眠くって寝てしまったり、空いた時間があっても本を読むのに使ってしまいがちで…。
今は、7月に出た論創海外ミステリを2冊続けて読んでいます。
● ドラマ 『殺意』
テレビ東京系列で放送されていた2時間ドラマ 『殺意』 を観ました。
新聞のテレビ欄には「推理界の巨匠追悼企画」としか書かれておらず、巨匠というのは誰のことなのかさっぱりわかりませんが、エド・マクベインですね。『殺意の楔』 という作品を、日本を舞台に置き換えたものです。
まあ、実のところ、私の本当のお目当ては主演の上川隆也さんだったんだけど(笑)
内容のほうは、なんだか1時間ドラマのネタを2つくっつけただけみたいで、あまりおもしろくありませんでしたが、小説で読めばまた違うのかな?
それにしても、交通課が間抜けすぎだ…(笑)
2005. 09. 12
『ドアをあける女』
The Beckoning Door (1950)メイベル・シーリー / 板垣節子 訳 / 論創海外ミステリ24
[ amazon ]
小さな町ロングメドーで、亡き父の治療費の借金を返すために必死に働くキャシー。ある日彼女の家に、お金持ちで華やかな従姉のシルヴィアが突然訪ねてきた。何か言いたいことがあるようだったが、結局何も言わずに帰ってしまうシルヴィア。数日後、「一緒に解決したい問題がある」と言うシルヴィアに呼び出されて彼女の家に行ったキャシーは、シルヴィアが殺されているのを発見する…。
私好みの作品。
本書の著者紹介には「ラインハート、エバハートの流れを汲む<HIBK>派の作家として活躍した」と書かれていますが、私が連想したのはシーリーとほぼ同世代のシャーロット・アームストロングでした。作品の雰囲気はかなり異なるものの(シーリーのほうがドラマチックでやや感傷的、アームストロングはもう少しサラリとした感じ)、手の届かない人物にかなわぬ想いを寄せる登場人物の切ない気持ちを巧みに描き出しているところがよく似ているように思えます。
主人公のキャシーが証拠品のひとつをとっさに隠してしまったり、ある考えを頑なに信じ込むなど、ちょっとイライラさせられる箇所もあるのですが、キャシーの揺れ動く心を丹念に細やかに描き出すシーリーの筆致は、そんな短所も帳消しにしてくれます。そして、あとがきで訳者も述べているように女性の登場人物がとても生き生きと描かれており、なかでも優れた洞察力と逆境にへこたれない強さを持つキャシーの母親が特に魅力的。また物語の最後で、新しい世界へのドアを開けてくれる「だれか」を待つのではなく、自分の手でドアを開けなければいけないことにキャシーが気付く場面が、よくある話ではありながらも、とても清々しい。
シーリーの作品、他にも読んでみたいなあ。デビュー作 『耳をすます家』 の邦訳が1962年の「別冊宝石」と66年の「ジュニア・ミステリ・ブックス」に収録されているらしいけど…(後者は近隣の図書館にあるみたいだけど、児童書というところからして抄訳っぽい…)
* Tag : 論創海外ミステリ
2005. 09. 09
『ステファニーハウスの秘密』
Dreamchild (1990)ローズマリー・ヘイズ / 清水奈緒子 訳 / PHP研究所
[ amazon ]
クレアは両親とともに、イギリス西部のいなか町に引っ越してきた。ここは趣のある古い館、ステファニーハウス。この館に、少年の亡霊があらわれるが、町の人びとは館について口を閉ざしたまま。クレアは、みちびかれるように館の過去の秘密を探り、高価な宝石のネックレスが隠されていることをつきとめた! ミステリーのような謎解き、いきいきとした女の子の活躍、歴史ある古い館に亡霊と読み手の心をくすぐるイギリスの物語。
いかにも子供向けって感じで、いまいち。
作者だけはプロットを把握しているもんだから、主人公に一足飛びに謎を解かせてどんどん話を進めていくのだけど、間を埋める描写や説明が不足しているので、読んでいるこちらは置いてけぼりというか「蚊帳の外」状態になってしまう。登場人物の造形もおざなりな感じがするし…。
それに何より、少年の亡霊は別に出てこなくてもよかったんじゃない…?
2005. 09. 09
ミステリ読書月間 / 『二都物語』
● ミステリ読書月間
「暑くて集中力が途切れがちなときには、ミステリがいちばん読みやすかろう」ということで、7月下旬から始めたミステリ読書月間。
実はまだ続いていて、さらにもうしばらく続く予定ですが、そろそろ、どっしりとした現代文学、それに何か19世紀英文学が読みたくなってきたなあ。
でも、黄金期本格とか現代サスペンスとか、ミステリ小説ばかりたくさん読めて楽しかったです。国書の世界探偵小説全集も4冊読破できたしね。
● 映画 『二都物語』
(1957年・イギリス)
先日BS2で放送されていたのを、録画しておいて観ました。
これ、約50年前の映画なんですが、クリストファー・リーが出演していたんですね〜。
本編を観ているときは気付かなくて、最後のスタッフロールを見てビックリ、思わず本編に戻って確認しちゃいました。
ちなみに、領地の若い娘を無理矢理慰み者にして死に追いやり、さらにその父と弟まで殺してしまう(その他にも悪事多数)という鬼畜なサン・テヴレモンド侯爵役です。
で、物語の内容ですが。
実は、原作の小説はあまり好きじゃないんです。構成がうまくなくてダラダラしているのと、ディケンズの作品のなかでも特に文章が感傷的すぎるように思えて。(あと、フランス革命の描かれ方が偏っている…。まあ、イギリス人だから仕方がないか)
映画のほうは、2時間で手際よくまとめられ、原作のドラマチックさもはっきりと表現されていて、なかなかよかったです。主人公シドニー・カートン(ダーク・ボガード)のやさぐれハンサムぶりもかっこよかったしね。
しかし、何より良いのが、ヒロインのルーシー&チャールズ夫婦が、原作みたいにイライラさせられる人物ではないところ。というより、チャールズはその役立たずぶりを披露する暇がないほど、影が薄かったんですが(笑)。原作読んだ時には、この能天気なお子ちゃま夫婦には本当にイライラさせられたんだよなあ。ルーシーは、苦労の多い少女時代を送ったとは思えない、世間知らずな「お人形さん」ぶりだし。原作の二人だと、カートンが自分たちのためにしてくれたことについて、忘れずに感謝はし続けるだろうけど、自分たちの幸福があまりにも大きな犠牲のうえに成り立っていることの重みを感じることもなく、一生、能天気に笑いながら生きていくんだろうな…。
「暑くて集中力が途切れがちなときには、ミステリがいちばん読みやすかろう」ということで、7月下旬から始めたミステリ読書月間。
実はまだ続いていて、さらにもうしばらく続く予定ですが、そろそろ、どっしりとした現代文学、それに何か19世紀英文学が読みたくなってきたなあ。
でも、黄金期本格とか現代サスペンスとか、ミステリ小説ばかりたくさん読めて楽しかったです。国書の世界探偵小説全集も4冊読破できたしね。
● 映画 『二都物語』
(1957年・イギリス)先日BS2で放送されていたのを、録画しておいて観ました。
これ、約50年前の映画なんですが、クリストファー・リーが出演していたんですね〜。
本編を観ているときは気付かなくて、最後のスタッフロールを見てビックリ、思わず本編に戻って確認しちゃいました。
ちなみに、領地の若い娘を無理矢理慰み者にして死に追いやり、さらにその父と弟まで殺してしまう(その他にも悪事多数)という鬼畜なサン・テヴレモンド侯爵役です。
で、物語の内容ですが。
実は、原作の小説はあまり好きじゃないんです。構成がうまくなくてダラダラしているのと、ディケンズの作品のなかでも特に文章が感傷的すぎるように思えて。(あと、フランス革命の描かれ方が偏っている…。まあ、イギリス人だから仕方がないか)
映画のほうは、2時間で手際よくまとめられ、原作のドラマチックさもはっきりと表現されていて、なかなかよかったです。主人公シドニー・カートン(ダーク・ボガード)のやさぐれハンサムぶりもかっこよかったしね。
しかし、何より良いのが、ヒロインのルーシー&チャールズ夫婦が、原作みたいにイライラさせられる人物ではないところ。というより、チャールズはその役立たずぶりを披露する暇がないほど、影が薄かったんですが(笑)。原作読んだ時には、この能天気なお子ちゃま夫婦には本当にイライラさせられたんだよなあ。ルーシーは、苦労の多い少女時代を送ったとは思えない、世間知らずな「お人形さん」ぶりだし。原作の二人だと、カートンが自分たちのためにしてくれたことについて、忘れずに感謝はし続けるだろうけど、自分たちの幸福があまりにも大きな犠牲のうえに成り立っていることの重みを感じることもなく、一生、能天気に笑いながら生きていくんだろうな…。
2005. 09. 06
『北壁の死闘』
Traverse of the Gods (1980)ボブ・ラングレー / 海津正彦 訳 / 創元ノヴェルズ
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アイガー北壁で氷漬けのナチ軍人の死体が発見された。謎の遺体に関心を抱いたBBC局員が意外な事実を探り出す。第2次大戦末期、原子爆弾の開発をめぐってナチ・ドイツが精鋭クライマーを集めて打った奇策。追いつめられた彼らが魔の北壁で繰り広げた壮絶な死闘。J.ヒギンズをして「比類なき傑作」と言わしめた、超一級の山岳冒険小説登場!
一ヶ月ほど前、テレビ「世界ふしぎ発見」のスイス・アルプス特集でアイガーが取り上げられているのを観て、この本を思い出し、数年ぶりに読んでみました。私がアルプス最大の登山の難所であるアイガー北壁のことを初めて知ったのは、この作品でした。
やっぱりすっごくおもしろいなー、これ。クライミングにはまったく門外漢の私でも、夢中になって読めてしまう(巻末に登山用語解説も載っています)。本当におもしろい作品というのは、専門用語が多用されていても、それをものともせずに読ませてしまう力があるんだなあ、とこういう本を読むとつくづく感じます。
主人公のエーリッヒ・シュペングラーはナチス・ドイツの少尉。アメリカ軍相手だった彼の戦いは、やがてアイガー北壁との戦いになっていく。絶景の広がる標高4000メートルの壮大な雪山の描写も素晴らしくて、その高みにいると戦争なんてちっぽけなものに感じられるというシュペングラーの境地が、ただのお題目ではなく実質をともなったものとして胸に迫ってきます。それに、終盤のシュペングラーがクライマーとしても人間としてもすごくかっこよくて、最後なんて、もうかなりの感動ものだよ…。
2005. 09. 05
『墜ちる人形』
Death of a Doll (1947)ヒルダ・ローレンス / 杉下光代 訳 / 小学館文庫
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同僚の紹介で女性専用アパート「希望館」に転居することになり、大喜びのデパート店員のルース。しかし、入居当日の受付で、何かを目にして突然怯え出し、翌日から落ち着かない様子を見せるようになる。そしてクリスマス直前、恒例の入居者たちの仮装パーティーの夜、彼女は庭で墜落死体となって発見される。ルースと親しかったデパートの顧客サットン夫人は、自殺とされた彼女の死に納得がいかず、友人の私立探偵マーク・イーストに調査を依頼するが…。
主に働く若い女性たちが暮らす、ニューヨークの女性専用アパート(女子寮みたいな感じ)を舞台としたサスペンス・ミステリ。
あからさまにブラックだったりするわけではないけれども、女性ばかりの場所が舞台ということもあってか、なんだかイヤ〜な気分にさせられる話だった。特に、なんの関係もないのに野次馬根性丸出しで事件に首をつっ込む、サットン夫人の友人のおかしな老女二人組。読む人によってはユニークなキャラクターだと思うかもしれないが、私にとっては悪趣味スレスレだった(希望館に電話をかけて、誰が出てもお構いなしに「人殺し!」と叫んで受話器を置き、相手をおびえさせて喜んでいるなんて、絶対おかしすぎるよ! でも、どうせなら、職業探偵のマークではなく、存在意味の中途半端なこの二人組に最後まで事件の解決をさせればよかったのに)。また、殺人者の人物像や動機もずいぶん異常だ(というより、かなり無茶でしょ、あれは…)。
それから、文章がねじれていたり、前後の脈絡がない文が多かったのだけど、これは訳のせいだろうか、それとも元の英文がそうなっているの?(脈絡のない部分については、元々そう、って感じもする…)
2005. 09. 02
『六死人』
Six hommes morts (1931)S・A・ステーマン / 三輪秀彦 訳 / 創元推理文庫
[ amazon ]
五年経ったら再会して、稼いだ金をみんなで山分けにしよう。たとえ失敗した者がいても平等に分けるのだ。そんな取り決めのもと、大金持ちになる夢を胸に世界中に飛び立った六人の青年たち。そしていま彼らは再会のため、それぞれが帰国の途に着いていた。だが、そのうちの一人が客船から海に落ちて行方不明になってしまう。やがて、一人、また一人と、何者かに次々と殺されてゆく…。
フレンチ・ミステリ特有の雰囲気で(と言っても、ステーマンはベルギー生まれだけど)、約230ページと短いこともあって、なんだか淡々とした感じ。
クリスティーの某有名作と同じ趣向が用いられていて、こちらのほうが8年早いということが裏表紙のあらすじ紹介でも訳者あとがきでも強調されているのだけれど、ことさらにクリスティーの作品と比較する必要はないんじゃないかなあ。共通するのは一部分だし、クリスティーのその作品はそれ以外の要素によって有名だと思うから。
